グアム政府観光局
光森裕二営業部長
 「一般のコンシューマーに如何に現状を伝えるか」、「如何にメッセージを発信すべきか」が、大きな課題となってきた観光業界。グアムでも、例えば昨年末の台風後に、回復を始めた段階になって日本で発生当時の映像が流されるなど、報道のタイミングが悪いこと等も課題となってきた。また、一方では、「店舗でブローシャーを見てから、旅行目的地を決めるコンシューマーは、もはや2割程度しかいない」との報告もあるように、広告展開、雑誌、テレビ、口コミなどを通じたダイレクト・マーケティングの重要性も高まっている。グアム政府観光局(GVB)は2003年に、「Enjoy Guam Way! グアム流のリラクゼーション方法の提案」をテーマとしたマーケティングを実施し、グアムならではのリラックスできる観光素材をターゲット別に提案する方針を打ち出しているが、今後、一般コンシューマーへのアプローチ方法や有望市場への取組をどう進めていくのか。GVBの光森裕二営業部長に、日本市場での今後の取組などについて聞いた。 



 今年に入りGVBでは、実際にスタッフが旅行会社の店頭や駅前に出てパンフレット等を配布する活動を展開している。リカバリー的な意味合いを含めて、既に福岡と新潟で実施。4月中旬には、グアムの安全面のアピールを兼ねて、神戸、京都、大阪の旅行会社店舗の前でダイレクトコンシューマーキャンペーンを実施した。これには、グアムよりミスグアムが来日して、ともにパンフレットを配り、より華やかなキャンペーンとなった。
 光森氏によると、この街頭でのキャンペーンは、「旅行会社の前でやるのが一つのキー。路上で配るというコンシューマーへのダイレクトな働きかけとともに、旅行会社に対してグアムのモチベーションを上げてもらうという、両方の意味を兼ねたプロモーションとして行っている」と語る。
 GVBは今後も、この店内・店頭でのキャンペーンを継続していく意向だ。ミスグアムなどを継続して招聘し、グアムの親善大使として前面に出てもらうことでより多くの人にグアムをアピールしていく。上述の都市以外では、7月前までに全国8都市とその近郊都市を中心に行いたいとしている。
 また、昨年実施したショッピングセンターやデパートのフロアを利用したダイレクト・コンシューマー・プロモーションは、東
京都内も含めた全国で、月1回程度のペースで実施していく。なお、昨年のプロモーションへの反応は、「今まで、海外の観光局がデパートでプロモーションを行ったことは希。逆にお客としては、“こんなとこでやっているの”という感覚で、よりインパクトがあった」という。
 このプロモーションでは、デパートという条件から女性をターゲットとしているが、デパートやショッピングセンターのブランド、立地条件等により客層が異なってくるという。例えば、このデパートの客層はシニア層や富裕層、このデパートは若い女性だけなど、それぞれの客層に特徴がある。今後は、シニア層であればシニア層向け、家族連れの女性が多ければファミリー向け、専ら買い物が主目的の主婦が多い場合には価格訴求bといった形で、その性格を見極めた上でプロモーションを行っていく。
 そのほか、ダイビングフェア、ツアーエキスポといった、コンシューマー向けのイベントに出展し、グアムのPRを行っていく。
 GVBでは、テレビや雑誌など、メディアを通じての一般コンシューマーへの告知も継続して行っていく意向だ。内容としては、「現時点では安全面でも全く問題がないことをアピールする」ことが中心になるという。このため、5月の連休後に、カマチョ州知事を中心としたトラベルミッションが日本に派遣され、広く日本人にグアムの安全をアナウンスする予定だ。
 しかしながら、グアムを取り扱う旅行会社、現地サプライヤーなどからは、「リラクゼーションやトレッキングなど、テーマを絞った露出を行って欲しい。例えば、雑貨やリラクゼーション、グルメといったテーマでベトナムが雑誌・TVで取り上げられ成功したように」といった声が聞かれる。これについてGVBでは、「現時点では、消費者が関心を持っているのは、安全面の方が大きい。業界全体がそういうのを出さなければいけない現状になっている」としながらも、「本来ならば、そういったプロモーションを展開すべき」としており、今後の情勢次第で実施していく可能性を示唆している。光森氏は、「テーマを持ったツアーを増やし、その成功例や実施例を露出していきたい」と語っている。






 海外ウエディングのデスティネーションとして定着したグアム。ここ数年、グアムでの挙式数の伸びは著しい。1996年には2600組であったのが、3年後の1999年には約2.3倍の6000組に。以降、2000年が8500組、2001年が8550組と増加を続け、2002年には9500組が挙式を行っている。なお、2001年に関しては、9.11がなければ9700組に達していたとされ、2002年も12月の台風ポンソナがなければ1万1000組の挙式が行われたと推察されている。2003年については、1万組を見込んでいる。
 グアムがウェディング市場を伸ばした理由としては、「ほぼ主要ホテル毎に存在するといってよいほど、バリエーション豊富にチャペルが存在する」、「複数のウエディング・サービス会社が参入し、競争を行っていることで、コンシューマーがより良いサービスを享受できる」など、受入体制が整っていることが大きい。さらに、宿泊施設、観光施設、アクティビティが充実していることも、コンシューマーにとっては選択しやすい理由となる。
 「地理的に近い」ことも重要な要素。日本から僅か3時間半のフライト、全国8都市から就航しているアクセスの良さは、2泊3日の短い日程も可能など時間を有効に使えて、かつ旅行代金を抑えられる。実際、ウエディング雑誌の調査によれば、グアムを選択した理由として「費用が手頃であったから」という声が寄せられている。
 また、このことは同伴者の呼びやすさにつながってくる。先述の雑誌の調査でも、それを選択の理由としたカップルは多いと報告されていて、平均同伴者数が1999年に10人、2000年12人、2001年14人、2002年には16人と、年を追う毎に増加していることで証明している。
 なお、グアム政府観光局(GVB)では、2002年9月から2003年3月まで「5万円商品券プレゼント」を中心としたウエディング・キャンペーンを実施した(当初は12月までの設定だったが、その後期間を延長)。特にこのキャンペーンは、「日本からの同伴者が8人以上」という条件で、5万円商品券をプレゼントするなど、同伴者の需要喚起を目的とした。これにより、キャンペーン期間中の同伴者数は、平均15名(含む挙式カップル)という結果を得た。月別では、9月が平均14.6人、10月が15.2人、11月14.0人、12月21.1人、1月14人、2月11.3人、3月12.0人となった。なかでも注目されるのが12月の数字で、平均同伴者数21.1人は、台風の影響により99件のキャンセルが出た上での結果。1月以降についても、リカバリー過程で挙式数が減少した上での結果である。
 GVBでは、同伴者を増やすためのプロモーションを継続して行っていく意向だ。2002年はTVCMにおいて、同伴者が多く来ることが可能なことをアピールしたが、今後はメディア等を通じて実施例の露出を高める形で進められるもようだ。
 旅行会社としても、ウェディング同伴者の取り込みを図っている。例えば、同伴者に対して、「ウエディングカップルと同じフロアーの部屋を手配」、「出発地が違ってもホテルでは同部屋の利用を可能とする」、「カップルと一緒に専用車で送迎」といった形でパッケージ商品に反映されてきている。また、近隣の島へのアイランド・ホッピング、グアム+バリまたはケアンズといったコースも、「グアムでの挙式後、カップルはそこからハネムーンに出発。同伴者はグアム滞在を堪能してもらう」といった形でアピールすることで、同伴者の需要喚起につなげることが試みられている。
 現地での受入体制も、さらなるチャペル建設の予定もあり、チャペルでの挙式という形態は成熟していくと推察される。今後、ウエディング市場を拡大するには、チャペル以外の挙式バリエーションを増加する必要がある。国内で最近注目されている「パーティー・ウエディング」や「邸宅挙式」については、すでにグアムでも導入が試みられているが、今後もこれを継続・拡充していくべきだ。また、クルーズ船上での挙式、ビーチでの挙式、「チョコレートハウス」などスペイン統治時代の史跡を利用した挙式などの可能性も検討すべきだろう。
 昨年のGVBによるウエディング・キャンペーンでは、グアム州知事の署名入り結婚証明書がプレゼントされ、恋人岬に設けられた「ウエディングウォール」にカップルの名前を刻むことも行われた。今後も、こういったソフト面の拡充をしていく必要がある。さらに「恋人岬伝説」などチャモロの伝説などを反映させると、グアムならではの魅力を創出することが可能になる。






 「3泊4日のパッケージ旅行マーケット」としてのイメージが強かったグアムだが、ここ数年で日本人旅行者の滞在日数に変化が出ている。要因の一つには、これまで3泊4日をメインに座席を卸していた航空会社が、需要の関係でそのサイクルを崩さざるを得なくなったことが挙げられる。
 2002年にグアムへ訪問した日本人78万2484人のうち40%が4泊5日以上の滞在であったとの統計がある。2001年と比較すると、37%から3ポイント増加している。特に、7月が46%、8月が48%を記録。また、12月でも4泊5日以上の滞在は44%を占めている。このことは、比較的長い休暇が取れる時期に充てるデスティネーションとして、グアムが認知されてきた結果といってよい。
 プロモーションとしては、ロングステイ向けの施設をとりまとめて、コンシューマーに紹介するのが第一段階となろう。各旅行会社でも、ロングステイ商品の設定には積極的。収益の面だけでなく、日数設定のバリエーションが増えることで、3泊4日の商品が多かったが故に何となく「モノトーン」であったグアム商品のイメージが変わる効果も得ることができるだろう。
 また、「夜便利用者ほど4泊5日以上の滞在が多く、数字も伸びている」との声も聞かれる。これは消費者が、「夜便の場合、グアム現地のホテルに到着するのが深夜となるため、特に子供や年配者にとっては身体的にきつい。また、実質的に使える時間が短くなるため勿体ない」と感じるためと推察されている。
 夜便の利用促進についても、これまでグアムの課題とされていた。今後、この「夜便利用」と「4泊5日以上滞在」の関係を利用して、両方の市場を喚起するプロモーションの展開を行ってはどうだろうか。
 高齢化がいわれるなかで、「シニア・マーケット」が注目されて久しく、時間的・経済的にゆとりがあるため、高品質・高価格な商品・サービスを消費し得る客層として、重要なマーケットとなっている。グアムでは、2002年の日本人訪問者数のうち16.5%が50歳以上。やはり成長マーケットといえる。
 「日本から3時間半と近く、時差も1時間で、身体にかける負担も少ない。ある程度日本語が通じ、安全で、病院などの施設も整っている」といった利点が、シニア・マーケットへのグアムのアピールポイント。ただし、需要喚起に向けてアプローチするには、直接的に行うよりも、グアムへ行く何らかの動機付けを提供する方が効果があるのではないか。
 例えば、現在でも、息子・娘夫婦、孫とともに、3世代でグアムを訪れるケースは多い。これは、孫という存在が、シルバー層を「孫のためならばお金を出そう」という方向に導く動機付けになっている。
 グアム政府観光局が、さまざまな理由で挙式ができなかったリタイアリー夫婦10組をグアムに招待するイベントを実施したが、その際には500組以上の応募があり、実際に現地で挙式を挙げた夫婦が3組いたという。こういった「記念式」をきっかけとするのも効果があるだろう。
 また、シニア・マーケットに、1945年〜1950年生まれの、いわゆる「団塊世代」が加わった。この世代は1000万人を越えるといわれ、ボリュームの増加で大マーケットとなりつつある。グアムへ訪問者数でも、毎月10%程度を50代が占めるようになり、着実に動き出している。
 団塊世代は、若い頃より海外旅行に慣れ、彼らより上の世代とは異なり、アクティブな行動様式を取り入れている。また、彼らにとって旅行は憧れではなく、求めるものを達成する手段であり、旅行の目的が明確になっているという特徴もある。彼らを誘致するには、「グアムで何ができるか」ということをより明確に伝えていく必要があるだろう。