グアム政府観光局(GVB)は新年度に当たる昨年10月から、グアムのイメージアップを図るためにブランド構築を目指すキャンペーンを展開することを決め、2004年から新たなキャッチフレーズを「さあ、南へ。日常から3時間 グアム 」とし、これを使用したポスターを全面展開している。これまでの「安・近・短」のイメージを払拭し、自然・歴史・文化などをフィーチャーした新たな「グアム・ブランド」の構築を図る。GVBの原晴一日本代表に、2004年の日本市場に対する取り組みを聞いた。

■新しいポスターを見ると、これまでのイメージから全く変わったが。

 
基本的に過去のコンセプトを全面的に見直した。これまでの「日本から一番近い」などの「安・近・短」のイメージは全て払拭して、自然・文化・歴史・癒しなどをフィーチャーして、ビジュアル系を含めて全面的に変更、ポスターは「日常から3時間」などのシンプルなものとし、とくに自然をフィーチャーしたものになった。
 他のデスティネーションも同様のコンセプトでブランドイメージの向上を図っているが、前回も述べたように、グアムは昨年の9月の時点で、既にこの方向性を検
討していた。
 昨年9月にターゲット別に7グループ7名の計49名に集まっていただき、グアムに対するヒアリングを行った。その中で、デスティネーションとしてのグアムの良い面、悪い面を語っていただいた。とくに、ネガティブな部分ではビーチ、ショッピング以外の文化、食事などが露出されておらず、日本マーケットに対して、それらが浸透していないという意見が多かった。グアムと競合するサイパン、沖縄と比べると、ローカルな文化や食事などが露出面で劣っており、これらをアピールする必要があるとの意見が出た。
 このヒアリングを受けて、検討した結果、ポスターなども自然をアピールする必要があると考え、今回の方向付けを決定した。

■ブランドイメージの向上は重要だが、旅行業界との協力体制はどのように考えるか。

 旅行会社、キャリア、ホテルなどのサプライヤーとの関係は全く変わらない。これらは最も重要であり、サプライヤー、旅行会社へのサポートは従来にも増して強化していく。旅行会社、キャリアと共同作業で需要喚起を行わなければ、安定してデスティネーションとはならない。現在、需要が上り調子になっているので、とくにサポート体制の強化が重要となる。
 
■グアムへの日本人旅行者の回復状況をどのように見ているか。

 昨年9月から前年同月比で94%まで回復、10月99%、11月以降はプラスに転じた。年が明けて2004年は1月が7万9000人台(7万9640人・89%増)まで伸び、2000年1月の8万人と同じレベルまで戻った。2月は供給席数に限界があるので、7万人台(7万7635人・42%増)で推移すると思うが、2004年は1〜12月で85万人は達成できるペースでスタートした。
 航空会社に聞くと、ブッキングのペースが遅くなっており、キーポイントは4〜6月となるだろう。4〜6月が好調に推移すれば、年間85万人の日本人訪問者数は十分に期待できる。

■02-03年の年末年始が台風の影響を受けたこともあるが、ここに来ての需要回復の最大の要因は。

 2003年の段階から言えば、消費者の気持ち自体が旅行の志向に回復していると思う。昨年末にその兆候が現れていた。ただし、鳥インフルエンザの影響で、アジア地域からの旅行シフト需要があることも事実だろう。航空会社によれば、1〜2月はグアムへの予約が取れない状況だった。
 また、チャーター便も羽田は別として、地方からもゴールデンウィーク、8月の夏休みに実施することが決定しており、需要に対してチャーター便で対応することは、今後の需要増に対応できると考える。

■航空会社とのタイアップについては。

 コンチネンタル航空と地方の札幌、仙台、福岡からの需要促進キャンペーンを協力して展開する。東京、大阪、名古屋で旅行会社に新しいグアムのポスターを配布して好評だったので、これの地方版を実施する。札幌は雪祭りに焦点を当てて行い、今後、仙台、福岡でも展開する。また、今回はユニークな志向として、グアムのチャモロ料理のテイスティングを行った。

■最近の顧客層は変わりつつあると思うか。

 メインのターゲットであるファミリー、OL、団体とセカンダリー・ターゲットのシニア、ウェディング、ハネムーナーは落ち着いていると思う。
 ただ、グアムだけでなく、全体的にシニアの旅行回復が遅れているので、今年も3月初旬に「シルバーサービス展」に3回目の出展を行った。

■ブランドイメージを向上するということは、低価格からの脱却が課題となるが。

 低価格については、旅行会社だけの問題ではなく、航空会社の政策に大きく関わってくる。航空会社の方向性が決まらなくては、マーケットは変わらない。
 現状は供給がタイトになっているので、航空会社には航空座席の増加をお願いしたい。航空会社はイールド志向で、需要が伸びないと供給を増やさない。効率の良い機材で飛ばし、現行では機材を変えていく余裕はないと思うが、需要が回復しているので、今年は外的要因がなければ、去年のようなことにはならないだろう。その意味で、少し追い風が吹いてきたという感じはしている。
 
■また、現地サイドもブランドイメージ向上のために変わっていかなくてはならないが。

恋人岬
 GVB本局は4つの項目を挙げている。第1は、タモン地区の道路整備で、台風以降に電柱が倒れたため電線を地下に埋め、サイドウォークをつくるなどの景観美化計画が8月の中頃に完了する。第2は、GVB自体がグループを作り、グアムのアーティスト、クラフト・工芸家などによるカルチャー教室を展開、また、ホテルの従業員をピックアップしてチャモロの文化、芸能などを紹介する。第3は、タモンビーチが最近きれいになり、熱帯魚が戻ってきているので、ブローシャをつくってきれいになったタモンビーチをアピール、楽しんでもらう。第4は、チャモロの料理をフィーチャーし、チャモロ料理のコンテストを週末に実施する。
 この中でも、チャモロ料理については、ローカルの一般メディアを対象に、駅張り広告、ラジオ、シネアド、トレインジャックなどを検討している。これにより、日本でチャモロ料理を広めていきたいと考えている。

■グアムの最近の特徴としてスポーツツーリズムが脚光を浴びているが。

 施設が整ってきたので、今回はプロ野球で読売ジャイアンツ、Jリーグで東京ヴェルディ1969、コンサドーレ札幌、大学の野球チームと合宿に使ってくれた。2月にはLPGAゴルフの合宿で、60〜70人の女子プロゴルファーが来てくれた。オフ時期のトレーニングがメインだが、全体的にスポーツを盛り上げていきたいと考えている。
 昨年はJリーグの湘南ベルマーレがグアムで合宿を実施し、今年はヴェルディとコンサドーレの2チームが来てくれた。これを実績にJリーグには今から提案している。とくに、施設が充実しているので、誘致を働きかけていきたい。また、今年は天候に恵まれ、逆に九州や沖縄が天候不順だったので、グアムで合宿したチームの評価は高かった。

■修学旅行についてはどうか。

 修学旅行は伸びてはいるが、ランキングは14〜5位程度。コンチネンタル航空の地方支店長が積極的に修学旅行の誘致に動いてくれており、英語圏であることをアピールしていきたい。地方で話を聞くと、ダイレクト便であること、旅費の制約、時間的な問題などがあり、これらをグアムはクリアしているので、航空会社と一緒に修学旅行をプッシュしていきたいと考えている。名古屋、新潟などでは先生方にグアムを視察していただいている。また、北海道は修学旅行が韓国だけだったので、グアムを修学旅行先にと提案している。札幌−グアム線がある以上、修学旅行先として他の地域と同じテーブルで検討してもらいたい。
 修学旅行では高校の交流だけでなく、グアム大学のプログラムも提案し、高校からグアム大学に留学することなどが実現すれば、日米交流にもつながり、非常によいことだと思う。

■今年のイベントについては。

 夏は恒例のビッグサマーフェスティバルを予定している。ただし、ここ1〜2年はテロやSARSのリカバリーで、グアムに来てもらうためにクーポンを出したりしたが、こうしたイベントではなく、まずはイメージキャンペーンを大きくプッシュし、同時に自然、歴史、文化、料理などの現地の体験プログラムをファミリー、OLに対して展開していきたい。つまり、ベーシックなイメージキャンペーンを全面に出して実施していく。
 イベントもその間に入ってくる可能性はあるが、それもローカルなイベントを前面に出していきたいと考えている。

■北海道でプロモーションを展開したが。

 GVBと札幌観光協会が姉妹提携して10周年となるため、2月4日〜9日に北海道で観光プロモーションを実施した。カマチョ州知事、ラモレナGVB局長も来日し記念レセプションと双方の友好関係の確認宣言書に調印した。また、グアム使節団は精力的に表敬訪問も実施し、道庁、札幌市役所、北海道のサッカーチーム・コンサドーレ札幌、報道関係各社を訪れた。

■他に、地方自治体との提携は。

 静岡県の土肥に恋人岬があり、グアムの恋人岬とは提携して今年が15周年になる。今年4月1日に土肥町と修善寺町、天城湯ヶ島町、中伊豆町が合併して伊豆市が誕生するため、この機会に新市長と新知事で新たに提携の調印式を9月に実施したいと考えている。土肥の恋人岬にある鐘はグアムから、グアムの恋人岬の鐘は土肥から相互に贈られたもの。今年は新たなスタートとしてイベントにしたい。
 また、新潟県柏崎市にも恋人岬があり、昨年知事夫人が柏崎市に行き、グアムと提携のための調印式を行った。