グアム政府観光局(GVB)によると、8月のグアムへの日本人訪問者数は前年同月比31.4%増の8万4646人となり、1-8月の累計では64%増の59万9811人と約60万人まで回復した。GVBでは、2004年の日本人訪問者数を85万人、2005年を100万人とする目標を立てているが、このまま推移すれば、04年の85万人はほぼ達成でき、90万人を超える可能性も出てきた。このため、GVBは04年の日本人訪問者数を95万人、05年を105万人に目標を上方修正した。

団体・ウエディングも回復傾向
来年は105万人目標に上方修正


グアム政府観光局・原日本代表
 8月はグアムは台風が多く、需要が心配されたが、台風直撃を受けた8月22日の日曜日も日本から951名が来島しており、需要の旺盛さを物語っている。
 SARS後の回復は、とくにグアムをはじめハワイ、サイパンなどビーチを中心に日本人旅客需要が伸びている。その中でも、グアムは昨年10月からグアムへのイメージアップを図るための自然・文化・食事などをフィーチャーしたブランド・キャンペーンを実施しており、それが功を奏してきた。一方で、日本から約3時間というロケーションの良さにより、近場のビーチリゾートとして の強みを発揮してきた。
 とくに、一般のパッケージツアーもさることながら、団体、ウェディングの回復が顕著になりつつある。
 原代表は2003年のグアムへの日本人旅行需要について、「日本人訪問者数66万人のうち、2割強が団体だった。2000年の最盛期には団体が4割を占めていた。このため、昨年下期から団体イベントサポートキャンペーンを実施、今年の上期、そして下期と継続して展開している」と、団体旅行の底上げを図ることがグアムの課題であることを強調した。
 GVBが旅行会社とのヒアリングの中では、団体旅行はいい動きを見せているという。このため、近い将来、再び4割に近くに回復するという感触は得ている。2004年の回復を受けて、今後は団体、ウェディングに対して、旅行会社とタイアップして力を入れていく。

注目集める修学旅行


 団体の中でも修学旅行が近畿・中国地方を中心に今後の需要増が見込まれている。12月には岡山県で高校3校、岡山県外でも2校のグアムへの修学旅行が決まった。関東地方は高校の海外修学旅行がこれからということもあり、今後のプロモーション次第だが、関心は高まっており、「日本から一番近いアメリカ」として、英語学習などをアピールポイントに修学旅行の拡大に注力する。
 とくに、GVBでは全国の地方自治体、教育委員会などを回り、グアムへの修学旅行の促進に努めている。団体イベントサポートキャンペーンでも、下期は修学旅行も対象にしており、今後、日程的にも、英語学習の観点からも、グアムへの修学旅行は大いに注目される。
 ウェディングについては、グアムの場合は、同伴者数が多いため、成約すれば一組当たりの人数が多いことから期待感は高い。GVBでは、JTB有楽町支店で模擬結婚式を開催したり、JATA旅行博では会場のグアムのブースで実際の結婚式を挙げるなど、グアムにおけるウェディングをアピールする。JATA旅行博の会場には、小室哲哉・KEIKO夫妻が出席、JATA旅行博で注目を集めそうだ。
 原代表は「ウェディングはJTB有楽町支店で模擬結婚式を開催したことで、各旅行会社からも問い合わせが来ており、東北をはじめとして地方からもウェディングフェアを開催してほしいとの要望も強い。今後も我々の方からグアムのウェディングをアピールしていく」と積極的な姿勢を見せた。
 ただ、日本からグアムへの定期便の提供席数は、月間10万2000席。毎月8万人がグアムへ行けば、ロードファクターは約80%になる。チャーター便の運航はあるものの、今後のグアムへの需要増加、とくに2005年以降に100万人以上をめざすとすれば、グアムへの便数増、機材の大型化が必要になってくる。
 ウインタースケジュールでは、グアム線を運航する航空会社4社は、ほぼ現行通りの運航で、増便や機材の大型化は計画していない。航空各社の目標はイールド向上が大前提にあり、需要は回復しても、依然低価格化の状態を脱し切れていない状況では、提供席数を増加させることはグアム線に限らず難しいと言える。
 まずは、旅行・航空業界全体で適正価格に戻すことが必要だ。価格は需給バランスで決定するが、収益性を考えれば、業界全体が適正価格を考える時期に来ていることは間違いない。
 来年2月には、中部国際空港が開港する。航空各社は中部国際空港からの国際線の運航をそれぞれ検討しており、中部の旅行需要をターゲットに、デスティネーション競争が激化しそうだ。
 グアムの路線・便数は中部空港が開港しても今のところ変更はないが、GVBでは名古屋を中心とする中部の旅行市場を重視し、秋から冬、さらに来年1月にかけて、ライブプレゼンテーションを復活させることを検討している。



 また、今後の課題としては個人旅行をグアムでどのように定着させていくかが挙げられる。グアムの主流はパッケージツアーだが、航空各社がグアム線に対してもPEXの割引運賃を設定している以上、グアムでも個人旅行は確実に増えてくる。
 現状は、FITで旅行すると逆に難しいデスティネーションと言われるグアムだが、それでも全体の10%はFIT旅行者だ。
 FIT旅行者が増えていく中で、現地サイドもこれに対応していかなくてはならない。個人旅行に対して、何ができるのか。常に旅行会社頼みのグアムではなく、FIT旅行者に対してどのように対応していくのかを考えていかなくてはならない。
 グアムのイメージは変わりつつあるとは思うが、未だ「安・近・短」は払拭できていない。旅行会社の存在があればこそ、100万人を超えるデスティネーションにグアムは成長したが、それが曲がり角に来ていることもまた事実。
 アメリカ本土、ハワイは言うに及ばず、サイパンさえも個人旅行化が進む今日、グアムも個人旅行を避けて通れない。
 方向性としては、団体旅行、パッケージツアー、個人旅行が共存し、グアム需要が増えて行くことを目指すべきで、ピーク時に数字に戻る時が来ても、その時は旅行の形態・シェアは確実に変わっているだろう。
 FITだけでなく、日本人旅行者がグアムで要望するものの一つにバスの運行がある。グアムのバス路線はいくつかの会社が運行しており、パッケージツアーでも商品によって使い分けがされている。ただ、バス停に到着したバスに乗れないとの指摘も多く、共通パスを要望する声が出ている。これにはバス会社、旅行会社、それぞれの営業戦略があり、実現は難しいとは思うが、旅行者の利便性を考えると、ぜひとも検討してほしい。



シニア層の受入課題
魅力あるロングステイを


 グアムにおける長期的な課題としては、今後増加するシニア層の受入施設をどうするかということだ。
 グアムの顧客ターゲット中に、当然シニア層は含まれているが、今後ゴルフも、マリンスポーツもしないというシニア層に対して、グアムの魅力をどのようにアピールしていくかがポイントになる。
 グアムでも宿泊日数は伸びつつあり、今後ロングステイを促進するためにも、シニア・シルバーに対するグアムの魅力を高めていかなくてはならない。
 グアムに対して、GVBは自然、文化、食事などグアム独自のものをアピールしているが、やはり最大の魅力が海の美しさだ。ホテルが立ち並ぶタモンビーチでも、シュノーケリングをすれば魚を観察できるという海は、他のビーチ・デスティネーションでは少ない。喧噪を離れて、ゆったりと過ごせるというデスティネーションの可能性はグアムにもある。
 最近流行りの言葉で言えば、「スローライフ」だが、グアムの多面性を考えれば、今後の方向性の一つとして、シニア・シルバー層に対して、何もしないで、ビーチでくつろぐスタイルを訴求することも必要だろう。
 グアムの日本人訪問者の歴史を振り返れば、1996、97年当時をピークとする急速な観光開発があり、それが一方でグアムを「安・近・短」の象徴のようにもさせたが、旅行需要が回復している今こそ、原点に戻ることも必要だ。
 そのために、GVBがネイチャー、カルチャー、地元フードなどを、新たにフィーチャーしているわけで、時間を掛けてグアムの自然・文化をアピールしていくことが重要だ。グアムならではの魅力は十分にあり、自然を中心とするグアムの魅力が、様々な顧客層の中から引き出されてくるのではないか。