日本からグアム線の提供席数は、チャーター便を除けば、月間10万2000席と言われる。毎月、日本人訪問者数が8万人を超えれば、利用率は80%台になる。このまま順調に回復すれば、グアムへの日本人訪問者数は90万人以上を超えることは確実だ。グアム政府観光局(GVB)は来年の日本人訪問者数を100万人から105万人に上方修正したが、それを達成するためには、航空会社の提供席数の増加が必要になる。グアムを運航する航空会社4社は、ウインタースケジュールでの増便・機材の大型化は計画していない。来年のサマースケジュールに対する提供席数増加の期待は大きいが、その前に適性運賃に戻すことが先決となる。グアムへの需要は回復しているものの、主流は低価格商品。需給バランスを見ながら、適性運賃に戻ってくれば、航空会社は提供席数の増加を検討するという段階だ。航空4社にグアム線の取り組みについて聞いてみた。

コンチネンタル航空


 コンチネンタル航空(COA)の日本発着のグアム線は、札幌、仙台、新潟、東京、名古屋、岡山、福岡の7都市から週50便以上運航している。
 今年1〜8月のグアム線の傾向は、昨年秋からの需要回復で、利用率が非常に良くなっている。日本からグアムへのトータルな日本人旅行者が増加し、順調な回復を示している。
 昨年はイラク戦争、SARSの影響でグアムも需要が厳しく、02年比が目安となるが、同社では、02年比で、輸送実績は15%増まで旅客需要が戻ってきている。
 同社のグアム線の供給量は、関西−グアム週7便運休で、その分が減少している。今年はチャーター便を14本運航しており、今後も地方自治体からのリクエストに応じて、機材繰りを調整して、積極的に運航したいとしている。
 ウインタースケジュールは昨年下期と同様だが、ポイントとしては、千歳−グアム線を12月末から3月中旬まで、週4便に増便する。関西−グアムは引き続き運休する。
 グアム線の下半期の見通しについては、日本経済が回復基調にあり、上期に引き続き、旅行者も回復基調にあると予想している。
 とくに、企業のインセンティブ、修学旅行、大型・中型のグループ、パッケージツアーも活性化しており、上期と同様に堅調に推移すると見ている。
 下期のプロモーションに関しては、グアム政府観光局(GVB)と引き続き協力し、とくに、公立高校の修学旅行の取り込みに力を入れている。
 同社は日本の7都市からグアム線を運航しているが、その中の一部には公立高校のグアムへの修学旅行が認められていない県もある。このため、県、教育委員会に働きかけて、日本に最も近い米国であり、英語圏であるグアムの修学旅行先としてのメリットをアピールしていく。
 既に、北海道では今年から修学旅行先を緩和し、グアムも公立高校の修学旅行目的地として加わった。
 公立高校でグアムを修学旅行先として着目しているのは、関西・中国地区で、とくに岡山県は積極的な姿勢を見せており、同社とGVBが協力して公立高校の教員向けに修学旅行セミナーを開催、多くの教員が出席して高い関心を示した。
 機内サービスについては、下期に新たなものはないものの、日本の7都市からグアムを運航する「リゾートシャトル」としてプロモーションを展開する。「機内に入った瞬間からリゾート気分」を、今後もさらにアピールしていく。
 同社では、機内食にも配慮し、温かい食事を引き続き提供する。機材はボーイングB767-400、B737-800を継続して運航する。B767-400には全席パーソナルテレビを搭載、ビジネスファーストクラスも導入し、一歩進んだ高いプロダクトを提供する。
 同社では、最新鋭のB767-400とB737-800を運航していることをさらにアピールし、旅行会社に対してもパンフレットやブローシャに機材の優位性を明記するよう求めていきたいとしている。
 同社は成田−グアム線を朝・昼・夜の1日3便運航している。したがって、出発・帰国の旅行パターンは9通りあり、顧客層・旅行目的による自由な組合せができるとして、これを積極的にマーケットに浸透させたいとしている。
 団体とウェディングの対応については、団体旅行には早期割引施策を現在も進めており、下期も引き続き、早期予約を促進して早めの取り込みを図っていく。
 ウェディングについては、第1に、日本の7都市から運航しているネットワークを活かして、札幌、福岡、東京などから同時に出発して、グアムで集まって挙式し、グアムで解散してそれぞれの自宅に帰るというネットワークを全面に打ち出して需要の取り込みを図る。第2に、B767-400にはビジネスファースト、B737-800にはビジネスクラスがあり、ウェディングにおいても一つ上のクラスのニーズに応えられるとして、このクラスにおけるウェディングの取り込みも進めていく。



JALグループ


 JALグループは運航実績をグアム単独では集計しておらず、グアム・サイパン線の実績となるが、それを見ると、1〜7月の累計で、ロードファクターは67.0%だった。1月は71.9%、2月は75.0%と70台を維持したものの、3月は66.9%、4月は62.0%と60%台となり、5月は59.3%、6月に持ち直して68.3%、7月は65.9%だった。
 JALグループのグアム線は、JALウェイズが成田−グアム線をB747、B767で各デイリー、計週14便、名古屋−グアム線をB767で、関空−グアム線をB747でそれぞれデイリー運航している。
 また、グアムへのチャーター便の運航については、ゴールデンウィークにオウンユースで成田発着B767を1本運航、年末年始は地方発着のチャーター便運航を検討している。
 グアム線のウインタースケジュールはサマースケジュールと変わらず、成田発が昼間便B747、夜間便B767で各週7便、関空発が昼間便B747、名古屋発が夜間便B767で各週7便の運航を計画する。
 JALグループでは、グアム線の下期の見通しについて、9月以降、総需要は回復しており、10月以降も引き続き堅調に推移すると予測している。
 グアム線の今後のプロモーション展開については、ジャルパックがミッキーマウスを使ったファミリー向け期中商品を8月以降に設定、7月末から販売を開始して好評を得た。このため、下期も継続してファミリー向け商品販売を強化する予定にしている。
 グアム線の機内サービスについては、日本発着共通サービスとして、リゾッチャ・フォトスタンド型メニュー、リゾッチャ・子供用ランチボックス、ドライフルーツ入りのリゾッチャ・オリジナル・おつまみ、リゾッチャ・オリジナル・スパークリングワイン、リゾッチャ・オリジナル・ワイン(赤・白)、リゾッチャ・オリジナル・カクテル、リゾッチャ・デザインビール、リゾッチャ・スイーツなどの「リゾッチャ・ブランド」を豊富に用意した。とくに、アルコールが無料であることをアピールしている。
 機内用品はヘッドレストカバー、ナプキン、紙コップなどのリゾッチャデザインの物を搭載している。この他、リゾッチャオリジナル絵葉書、リゾッチャボードによる記念撮影など、長年かけて定着した「リゾッチャ・ブランド」に機内を統一している。
 日本発便のみのサービスとしては、機内ビデオは日本発便搭乗時のボーディングビデオとして、「リゾートイメージビデオ」を放映するとともに、人気のリゾッチャBINGOを実施して、飛行機に搭乗した時からリゾート気分を高めている。BINGOの景品はリゾッチャ・キャラクター等を使用したオリジナルグッズで、キッズリュックとトラベルケースのどちらかを選ぶことができる。



ANAグループ


 ANAグループのグアム定期便は、エアジャパンが関西−グアム線をデイリー運航している。今年1〜8月の運航状況を見ると、累計では8万8901人、ロードファクターは75.4%となっている。月別では、1、2月が88%台と好調に推移、3月も78.4%だったが、4〜5月が50%台に低迷、6月は72.7%と回復し、7、8月は83%台と上向いている。
 ANAグループの場合、成田−グアム線を運航していないが、それに変わるものとして、羽田−グアムの深夜・早朝チャーター便を積極的に運航している。
 ANAグループは昨年8月1日に、羽田−グアム間のチャーター便を初就航した。昨年夏期は羽田−グアムチャーター便を59本運航、その後、年末年始に13本、今年は春休みに7本、ゴールデンウィークに5本、夏期に43本を運航した。
 ウインタースケジュールについては、羽田−グアムチャーター便は年末に10数本運行する計画で、現段階では機材は未定。定期便の関西−グアム線については、サマースケジュールと同じB767によりデイリー運航を計画している。
 ANAグループは下期のグアム線の見通しについて、ロードファクターは前年同期比3.0ポイント減の77.9%と予想している。前年同期は前々年に台風の影響の反動で非常に伸び、今年3月には臨時便を設定したことが理由に挙げられる。
 ANAグループでは、「前年に比較すると、輸送量が落ちているために旅客数は減るとは思うが、輸送量並みの旅客数は維持できる」と見込んでいる。
 ANAグループは関空発のグアム線のプロモーションについては、下期初めての試みとして、ゲットで早割28「パラダイススペシャル」を設定した。これは期間限定で、下期中における最安値。また、ANAハローツアーで、「早割35日前割引」を設定。これは出発35日前までの予約完了で基本旅行代金から4000円割引き。さらにANAハローツアーで、「曜日限定SPECIAL」として、日、月、火、水曜にスペシャルプランを設定している。
 グアム線の機内サービスについては、羽田−グアムチャーター便の食事は、深夜便ということで手軽なものを提供、ファミリー主体で子供が多い路線のため、子供向けのメニューも用意している。また、グアム到着後、ビーチで直ぐに使えるように往路はビニールバック、復路はトートバッグに入れて食事を提供している。
 さらに、羽田−グアムチャーター便限定として、機内で欧米で人気の映画「TIN TIN(タンタン)」を上映している。
 ANAグループでは、団体マーケットの中でも、ウェディングマーケットへの対応として、関空発のグアム線でウェディング組み込みコースを充実させた。パンフレットの前方ページにウェディングコースを紹介するとともに、豊富なバリエーションを用意している。とくに、「指輪だけ持っていけばOK」をキャッチフレーズに、ドレスを含めたレンタルを充実させ、最小限、指輪だけを持参すれば、挙式が可能であることをアピールして、ウェデイングの集客に努めている。



ノースウエスト航空


 ノースウエスト航空(NWA)のグアム線は、1〜8月は比較的好調に推移している。同社は成田−グアム線をデイリー運航しているが、ロードファクターは需要回復を受けて高まっている。
 ウインタースケジュールは、サマースケジュールと同様にグアム線の機材・便数計画に変更はない。
 グアム線の下半期の見通しについては、上期に続き、下期もマーケットは回復傾向にあると見ている。とくに、ウェディングとファミリーマーケットの動きが堅調と見通している。
 グアム線のプロモーション展開については、早期割引などのプロモーションを継続し、早期予約を促進している。グアム政府観光局(GVB)とともに、コンシューマー・プロモーションを実施していく予定にしている。
 さらに、今後はビジネスクラスやPEX運賃を使った個人旅行に対しても積極的に需要開拓を図っていく。
 グアム線の機内サービスの内容については、下期も現行と大きな変更はないが、日本人向けの機内食、機内誌が好評なため、これを充実していくとしている。
 また、同社が促進するEチケットはグアム線でも好評で、個人旅行の促進と相まって、さらにEサービスの拡大を図る方針。
 団体マーケットとウェディングマーケットへの対応については、団体に関しては早期予約で対応が可能とし、ホテル予約を取れば積極的に動いていくとしている。また、ウェディングについては、とくにビジネスクラスを使った商品を積極的に販売していくことを強調している。