グアムのパッケージツアーも2004年は回復の年だった。グアムでも個人旅行(FIT)は伸びつつあるものの、やはり主力はパッケージ。そうした中で、旅行者がグアムのパッケージツアーに求めているものは変化している。グアム政府観光局のプロモーションの効果もあり、本来のビーチリゾートとしてのグアムを見直す動きが出てきている。グアムで上級商品が伸びていることもその現れだろう。他のビーチリゾートとのデスティネーション競争で優位に立つためにも、こうした時こそ、グアムのブランドを向上させる絶好の機会と言える。JTBワールドバケーションズとアールアンドシーツアーズに、パッケージツアーの方向性について聞いてみた。



JTBワールドバケーションズ
自然と触れ合うビーチリゾートを全面に
南部パイレーツコーブにバス運航


JTBワールドバケーションズ
鬼沢義信ハワイ・ミクロネシア
ディビジョン・ディレクター
美しい海と自然を守る

 JTBワールドバケーションズ商品本部ハワイ・ミクロネシアディビジョンの鬼沢義信ディレクターは、グアムについて、「過去10数年間、利便性を追求し、ファミリーリゾートとして成長してきたが、これからはビーチリゾートとして捉え直したい」と述べ、美しい海と自然をフィーチャーしたナチュラルリゾートとして訴求することを強調した。
 ファミリー層だけでなく、かつてのOL層のような若い旅行者をグアムに呼び戻すには、ビーチリゾートとしての魅力を高めることが求められる。
 こうした背景をもとに、ルックJTBが05年度上期でフィーチャーしたグアムのビーチがジェフズパイレーツコーブだ。ルックJTBでは、パイレーツコーブまで、追加代金なしでバス「パイレーツコーブ号」を走らせる。
 グアム東海岸のイパンビーチ沿いに位置するパイレーツコーブは、美しいビーチと遠浅の美しい海が拡がる。沖合にバードアイランドがあり、カヤックツアーでこの島の自然に触れることができる。また、第二次大戦時の日本軍のトーチカ、ジェフシーサイド博物館、ジャングルなどへはトラクタートラムで行ける。近くには1972年にグアムから救出された元日本軍伍長、横井庄一さんが住んでいた「横井ケーブ」がある。ランチにはチャモロ料理のバーベキュー、フィッシングツアーで釣った魚をバーベキューで食すこともできる。
 つまり、ルックJTBでは、パイレーツコーブで、グアムの美しい海と自然・歴史・文化・食事を楽しんでもらうことが狙いだ。とくに、この地域の自然環境を守るため、ツアーは70〜80人程度に抑えるという。
 「パイレーツコーブ号」はDFSギャラリアの下車も希望者のみとしており、6〜7時間の行程をパイレーツコーブとその近郊で楽しむことに特化している。
 鬼沢ディレクターは、パイレーツコーブをフィーチャーすることで、グアムにも美しい海と自然と触れあえる素晴らしいところがあることをアピールしていきたいとしている。
 一方で、ルックJTBは恋人岬、DFSギャラリア、フィッシュアイ海中展望塔、マイクロネシアモール、ラッテストーン公園、スペイン広場などをめぐる「ボニータ号」も走らせる。グアムを代表する観光スポットやショッピングに対するニーズも根強くあり、参加者が「セレクト」できるようにしている。

トレッキングツアー深化
シニア層狙いゆとりの行程


 次に、ルックJTBでは、グアムでのトレッキングツアー、ダイビングツアー、歴史体験ツアーも深化している。基本は少人数の行程で、コースがバラエティに富み、広がりのあるものが主流になっていくと分析している。
 トレッキングツアーは2〜3年掛けて練り込み、行程にゆとりを持たせ、シニア層にもアピールできるようなオプショナルツアーに仕上がってる。グアム島中部の秘境を自然や歴史に詳しい専任ガイドとともに、ニミッツヒルからフォンテンダム、フォンテンリバーの滝壺、フォンテンの丘などをめぐる。
 ビーチとはまた異なるグアムの魅力の一つであるジャングルトレッキングは、参加者に支持されており、自然と健康の切り口からも今後に期待が持てる。
 歴史体験ツアーは、ハガッニャ地区からラッテストーン公園、スペイン広場、ジェフパゴ文化村、セッティ湾展望台、スペイン古橋、ピティ、アサン地区展望台を巡り、グアムの歴史・文化を網羅している。ただ、サイパンやハワイにも言えることだが、観光地めぐりとの差別化をどのように図るかが、歴史体験ツアーの今後の課題となっている。
 海外ウェディングについて、鬼沢ディレクターは、少子化により「全体の挙式数が減少していく中で、海外ウェディングにどれだけシフトしていくかが課題」としている。他の海外ウェディングのデスティネーションとの競争もさることながら、ウェディングの総需要が減少していく中で、国内ウェディングとの競争も視野に入れる必要があると指摘している。
 鬼沢ディレクターは、グアム政府がタモン地区のホテルロードを整備し、グアムの観光インフラを改善するとともに、自然・歴史・文化などを、グアム全体の魅力を訴求していく方向性を評価、ルックJTBとしてもビーチリゾートとしてのグアムの魅力向上に協力していきたいとの見解を示している。

アールアンドシーツアーズ
予約の入り早く、上級クラス伸び
04年度のツアー取扱人数20%増と好調


アールアンドシーツアーズ
浅尾義和ミクロネシア・アジア部長
 アールアンドシーツアーズの浅尾義和ミクロネシア・アジア部長は、「パッケージツアーの予約タームが1ヶ月程度早まっており、かつ、上級カテゴリーの商品が伸びている」として、グアムへのパッケージツアーが良い方向に伸びていることに大きな期待感を示した。
 ここ数年、パッケージツアーの予約は、間際化する傾向が加速していた。先の読めない予約動向から、間際になってさらに安い商品を投入する旅行会社もあり、間際化と低価格化の悪循環を繰り返してきた感がある。それが、昨春以来、市場はようやく健全化に向かっているというのだ。
 浅尾部長は、その要因の一つに、航空各社の早期予約割引「早割」の導入から2年程度が経過し、市場に定着してきたことを挙げている。また、2001年の9.11以降、低価格商品を好む一部の顧客層は動いていたが、「ハイクラスの旅行を楽しむ顧客層は、国内の高級旅館などに流れていた。それが、ここに来てようやく海外に戻ってきた」と述べ、海外旅行の市場バランスが平常時に戻りつつあることも大きいと指摘した。もちろん、個人消費の順調な回復も背景にある。
 この傾向は、アールアンドシーツアーズが展開するパッケージツアーでも、顕著に表れている。2004年度(2004年4月〜2005年3月)の取扱人員見込みは、ウィッティが前年度比150%を記録する見通しのほか、コンチネンタルホリデイが150%、母数が大きいNWAワールドバケーションも120%と、いずれも高い伸びを記録している。
 一方で、キャンペーン商品のウィッティスペシャルは前年の8割程度、マイゲッツは6割程度に留まっているが、それでも、パッケージツアー全体の取扱人数は120%を達成する見通しで、当然、取扱額でも前年度実績を大幅に超えてくることは間違いない。

“ワンランク上の旅”受注好調
Cクラス利用者は月500名程度に

 「良いものを売りたい傾向は、航空会社、ホテルともに強い。そうした後押しも、ビジネスクラスの利用や、よりハイグレードなルームカテゴリーの受注の伸びにつながっている」と、浅尾部長は指摘する。
 アールアンドシーツアーズでは、2003年度より、“ワンランク上の旅”をキーワードに、NWAワールドバケーションで「ワールド・ビジネスクラスで行く至極の休日」を、コンチネンタルホリディで「ビジネスファーストクラスで行くワンランク上のグアム」を商品化している。
 2005年度上期商品でも、ハイアット・リージェンシー・グアムのオーシャンフロント・リージェンシークラブ12階以上や、アウトリガー・グアム・リゾートのオーシャンビュー・ボエジャーズクラブ20階以上など、選りすぐりのホテルルームをラインナップ。さらに、空港では専用ラウンジを利用、空港─ホテル間の往復専用車送迎まで付いた上で、お値打ち価格を実現している。受注状況も好調だ。
 また、これらの特別商品はもとより、ウィッティを含めた通常コースでも、ビジネスクラスへのアップグレードはここ数年増えているという。ビジネスクラス利用者は、ノースウエスト航空利用ツアーで月間300名程度、コンチネンタル航空利用ツアーで月間200名程度に上り、月に合計500名程度を扱うまでになっている。
 利用顧客層も、熟年層やウエディング・ハネムーンはもとより、未就学児童のいる比較的若いファミリー層にも広がっているとして、幅広い顧客層でビジネスクラス利用が増えていることも、利用者総数を押し上げる要因につながっている。

ウエディングは専門会社と提携
安心サポート、同行者多く

 グアムのウエディングも、引き続き好調だ。アールアンドシーツアーズは従来より、ウエディング専門会社と提携し、ウエディング手配は専門会社が、ツアー手配はアールアンドシーツアーズが担当するという強力タッグを組んでいる。
 グアムでのウエディングは、同行者が多いことで知られるが、そのため通常のツアーでは、挙式するカップル自身が添乗員の役割も担わなければならなくなるケースも少なくない。しかし、アールアンドシーツアーズの場合、現地でコーディネーターが付くため安心感が高い。
 また、同社では、通常15名以上の団体に付けている専用車送迎を、ウエディングに限って10名以上で付けており、現地での滞在が強力にサポートされる。こうした安心感もあってか、アールアンドシーツアーズが取り扱うウエディングの同行者は平均よりも多く、なかには参加者が40名に達してバス1台を貸し切ることもあるという。

ロングステイ人気徐々に高まり

 そして、グアムでのロングステイも、徐々に根付きつつあると浅尾部長は指摘する。通常、グアムへのツアーは、3日間または4日間が基本だが、ウィッティ、NWAワールドバケーション、コンチネンタルホリディともに、ツアー料金表には「ロングステイ7日間」の料金を掲示している。これは、7日間のロングステイをする場合、ホテル側が安めの宿泊料を設定しているためで、延泊代金を足した金額よりも安い設定となっている。
 浅尾部長は、「春休みの学生旅行など、ロングステイ商品の利用には時期的な偏りがあるが、シニア層などにアピールすれば、年間を通じた需要が見込めるのではないか」と指摘。ただ、そのためには、ロングステイでも楽しめる滞在中のプログラム開発が必要として、現地とも協力しながら取組を進めたい考えを示した。