グアムへの団体旅行需要が好調だ。回復の大きな波に乗った2004年度は、旅行各社ともに大きく取扱いを伸ばし、2005年度もこの勢いが続くと見られている。順調な景気回復はもとより、職場旅行から大型インセンティブまで、様々なニーズに応える現地の受入態勢が進んだことが大きいと歓迎する声も多い。教育旅行の拡大に向けた期待も高まる。今回は、JALセールスとホリデイツアーズミクロネシアに、グアムへの団体旅行拡大に向けた取組を聞いた。


JALセールス東日本支社
2004年度の団体受注、2割以上増加
インセンティブ、社員旅行とも好調



JALセールス東日本支社国際団体販売第2部の
星野公八第2手配グループ長と
矢口泰成グループアシスタントマネージャー
 JALセールス東日本支社は、グアムへの団体旅行の取扱いがさらに増え、2004年度は前年度比22%増、2000年度比でも27%増まで拡大するとして、その好調ぶりをアピールした。グアムへの団体旅行需要は、2003年度から本格的に回復してきており、そこからさらに2割以上も伸ばしたことは回復傾向が本物であることを裏付けている。
 周知の通り、JALグループでは、ジャルパックがパッケージ商品のI'll・AVAの企画・造成を、JALセールスが団体旅行の販売・手配、I'll・AVAの販売をそれぞれ取り扱っている。星野公八国際団体販売第2部第2手配グループ長は、「全方面の中で、唯一ミクロネシアだけが、I'll・AVAよりも団体旅行の方が取扱人数が多い」とその特徴を指摘し、それだけグアムが団体旅行に適したデスティネーションであるとの認識を示した。
 とくに、最近では、インセンティブ旅行、社員旅行、修学旅行などの別なく、いずれの分野も好調に需要を伸ばしているという。また、「グアムの大型グループへの対応力は、何よりの強み。ホテルや観光施設、旅行会社を含めて、総合的な受入能力が高い」(星野氏)として、こうした受入環境も、団体旅行先にグアムが選ばれる大きな要因だと分析している。
 実際に、100名以上の団体の取扱いも、ここに来て大幅に増加してきている。JALセールス東日本支社では、2〜3月の2ヶ月間だけで、100名以上の大型グループを6本も受注している。なかには、300名を超えるグループもあり、大型団体の需要がグアムに向かいつつある。
 その形態も、会社創立何周年記念といった規模の大きい社員旅行や、企業のインセンティブ旅行、販売店とクライアントの懇親旅行などさまざま。インセンティブ旅行では最近、保険業界や金融業界の動きが活発なほか、健康食品業界などの動きも良いとしている。
 JALセールス東日本支社では、2005年度の第1四半期(4〜6月)も、前年比25%増の受注状況で推移しており、好調を持続している。とくに、ゴールデンウィーク明けの5〜6月は、団体旅行にとっては上期のピークシーズンを迎えるため、ここでさらに弾みを付けて、下期に繋げていきたいと意気込みを示した。

団体タリフ「We'll」が定着・拡大
主要12ホテル網羅、即座に見積可

 こうした好調の背景には、JALセールス東日本支社が展開する団体タリフ「We'll」(ウィール)が主要販売店で支持されていること、ホテルをはじめ受入施設の詳細な情報を盛り込んだ「グアム情報」が販売を強力にバックアップしていることなどが挙げられる。
 団体タリフ「We'll」は、主要販売会社用に設定し、ジャルパックの「I'll」にちなんで、JALセールス東日本支社が独自に命名したもの。社内公募で決定した。その最大の売りは、団体旅行で利用する主要12ホテルを網羅し、非常にシンプルな設定となっており、各種分野の団体にも対応可能になっていること。
 矢口泰也国際団体販売第2部販売グループアシスタントマネージャーは、「ホテルや航空座席の手配力に裏打ちされて、品質・手配管理がしっかりしていることが流通に浸透していることも大きい」と分析。また、「We'll」では、即座に見積もりが出せ、手配回答が早いことも、支持されている要因ではないかとしている。
 そして、グアムの主要6ホテル内にツアーデスクを設置し、現地でのきめ細かい対応が可能なことも、団体旅行にとっては大きな要素だろう。現在、ホテルニッコーグアム、グアムリーフホテル、アウトリガーグアムリゾート、グアムプラザホテル、ハイアットリージェンシーホテル、オンワードビーチリゾートの計6ホテルにJPIツアーデスクが設定されている。
 また、A4版サイズの冊子「グアム情報」では、各ホテルの全景から部屋の間取り、バンケットルームのキャパシティまで網羅されているほか、オプショナルツアーの出発スケジュールまで掲載されている。それらの詳細情報を、毎年リバイスして販売店に配布しており、ある種、販売店のバイブル的な存在になっている。矢口氏は、「お客様から問い合わせがあった時に、販売店は色々調べなくとも即座に回答できる」と述べ、販売サポートの一環として捉えていると説明した。
 また、パッケージツアー参加者にも配布している「グアムプレジャーブック」は、団体旅行でも威力を発揮。現地での滞在を楽しむ様々なオプショナルツアーが人気を集めている。

教育旅行の取扱いも順調に増加

 また、JALセールス東日本支社は、グアムへの修学旅行や語学研修の取扱いも伸ばしている。2004年度は、グアムへの教育旅行全体で974名を取扱い、2005年度は1000名を突破することが確実な情勢となっている。矢口氏は、「グアムでは、語学の学べるところがまだ少ない。その点、教育旅行では“これから”のデスティネーション」と述べ、今後の環境整備次第では、教育旅行分野はまだまだ伸びるとの考えを示した。
 また、教育旅行にもインセンティブ等にも通じることだが、さらなる体験型プログラムの整備・開発が求められており、ウォーキングやトレッキングの実施、ソフトボール大会や社内運動会等のグアムでの開催提案といった取組を今後も進めるべきと指摘。JALセールス東日本支社としては、今後様々なモデルプランを作成し、提案型の営業を行っていきたいと意欲を示した。




ホリデイツアーズミクロネシア
4月以降の団体旅行、受注が加速
04年度は30%増と目標達成、勢い続く


ホリデイツアーズミクロネシア
東日本事業部
小早川芳彦仕入営業部課長
 「ゴールデンウィーク明けの自動車業界のインセンティブが、相次いで3本決まった。3月に入ってから、4月以降の受注の入りが加速しており、100名単位の団体がどんどん入っている」──ホリデイツアーズミクロネシア(HTM)の小早川義彦東日本事業部仕入営業部課長代理は、グアムの団体旅行需要の好調ぶりをこう説明した。
 2004年度下期も、1〜3月のオンシーズンを迎えて団体需要は好調に伸びてきている。このため、4月以降の好調さも、「予想通り動いてきた」と自信を示す。グアムの団体需要の好調さは、一時、SARSによるアジアからの振り替え需要がオントップされたためとの見方もあったが、団体旅行に強いグアム本来の動きが完全に戻ったとの分析が根底にはある。
 ホリデイツアーズミクロネシアは2004年度(2003年10月〜2004年9月)に、団体旅行の取扱人数が前年度比130%に達し、目標をほぼ達成した。2005年度についても、引き続き30%程度の伸びを見込んでおり、この勢いは続くと見ている。ゴールデンウィーク明けの受注が好調な上に、全体としても引き合いが強いことに手応えを感じている。
 さらに、これまでグアムへのチャーター便は羽田発着を中心に設定されてきたが、2005年度は地方空港にも拡大する見通しだとして、「インセンティブ、職場旅行ともに追い風」と期待感を示した。ゴールデンウィークには、札幌─グアム線のチャーター便が運航されるほか、近畿日本ツーリスト富山支店の取扱いで、小松─グアム線のオウンユースチャーターを運航することも決まった。
 今年は、コンチネンタル航空が新たに広島─グアム線の定期便を開設するなど、地方マーケットの活性化が進むことへの期待は高い。また、好調な需要の伸びを受けて、グアム線の定期便利用率は80〜90%程度に達しており、チャーター便がどの程度運航されるかも注目されている。

団体旅行のリクエストが年々細かく
グアムらしさ追求、イベント企画も

 インセンティブや職場旅行の最近の傾向として、小早川氏は、「リクエストが年々細かくなっている」ことを挙げている。そのリクエストとは、会場に飾るオブジェであったり、食事のメニューやオープンバーでの酒類であったりと様々だが、「日本で行うイベントなどと同様のサービスレベルを求められる」傾向にあるという。
 受入側は、そうした細かいニーズに応えることが求められるが、「この1〜3月の状況を見ると、需要に合ったインフラ、サービスが整ってきている。また、情報発信のためのツールも整いつつある」と対応が進んできていることを歓迎し、そうした受入態勢の整備が、受注の増加にも結びついているとの見方を示している。
 ただ、上村昌久取締役ホリデイ企画営業部長は、「グアムは、オーガナイザーからの“指名”がまだまだ弱い」と指摘し、その上で、「団体セールスマンの目をグアムに向けてもらうためにも、グアム観光局(GVB)がグループサポートキャンペーンを継続展開しているのは意味あること」と評価した。旅行日数や料金などの面で、グアムは東南アジアやハワイなどと競合しており、条件面の比較だけに陥らないためにも、グアムの売りが必要との考えからだ。
 ホリデイツアーズミクロネシアでも、団体セールスマン300人程度に直接、最新情報をメールマガジンで配信する取組をここ数年続けている。基本は月1回の配信だが、キャンペーン情報などは即座に増刊号として配信。団体セールスマンにグアムへの団体送客の動機付けを行うことで、受注にも繋がってきているという。
 また、小早川氏は、「オーガナイザーからはよく、『グアムで何ができるか』『グアムらしいものは何か』といった質問が寄せられるが、グアムの団体旅行をさらに強くするためには、“グアムらしさ”を作っていかなければならないだろう」と述べ、シンボル的なアニュアルイベントを立ち上げたり、秋祭りやダンスフェステなどのイベントを活用していけば、グアムの団体旅行先としての魅力がより高まると提案した。
 例えばホテルでも、ウエスティン・リゾート・グアムが『テーマパーティ』で成功した事例を挙げ、その他のホテルでも、売りとなる独自のテーマやコンセプトを設定するような取組が進むことに期待感を示している。

修学旅行マーケットの拡大期待
専用の学校交流プログラム提供

 ホリデイツアーズミクロネシアでは、グアムへの修学旅行や語学研修の送客にも力を入れており、KNTグループ全体の教育旅行関連の送客は、年間2000名程度に達している。修学旅行は、関西や中部など西日本が中心だが、関東もようやく解禁の方向で動いており、今後が期待されている。
 とくに、海外修学旅行を毎年実施している学校で、グアムが候補に挙がるケースが多いという。小早川氏は、「グアムは自然体験、チャモロ文化体験、学校交流など、修学旅行で求められる要素が整っている。こうした情報を営業マンにも伝えていくことで、今後、修学旅行は大きなマーケットに育てられるのではないか」と指摘する。
 例えばサイパンの場合、文化交流体験が行える「サイパン地球人村」を修学旅行に組み込む学校が多いとし、この経験から、グアムでもチャモロ文化体験が行えるオプションを専用でコーディネートしていると紹介した。
 また、修学旅行では学校交流が多く取り入れられているが、グアムの教育委員会等との強固な連携によって、専用の学校交流プログラムを準備しており、これが非常に支持されているという。加えて、語学研修のためのホームステイも定番化してきたことを挙げた。
 上村氏は、今後の課題として「夏場が弱い」ことを挙げ、レオパレスの豊富な設備や現地の大学設備などを活用しながら、子供を対象としたスポーツ交流事業等を企画するなど、需要創造型の取組を進めていきたい考えを示した。