若者のマリンスポーツ天国、ファミリー旅行のメッカ、あるいは海外ウエディングのベスト・デスティネーションといったイメージが強いグアム。しかし、グアムはもう少し幅広い可能性を持っている。距離的に近く、時差も少ない、言葉の不安も少なく、心理的にも近さが感じられるグアムは、ストレスフリーのリラックスした海外旅行を望むシニア層にとっては、うってつけのデスティネーションだ。
 すでにシニア層はグアム旅行に動き始めており、これに対応して現地の受け入れ態勢や、シニア向けのアクティビティー開発が進む。いまやシニアなグアムは新規需要の可能性たっぷり。旅行会社としても、この動きに乗り遅れたくはないところだ。

グアム旅行の約2割はシニア層

 グアムでは、日本人シニア旅行者を見かける機会が増えている。実はグアムはすでにシニア層にとって、隠れ人気デスティネーションとなりつつあるのだ。実際の統計データにもそのことが表れつつある。
 グアム島を訪れる日本人旅行者数は9.11テロ事件の影響を受けた02年の約79万人、イラク情勢やSARSのダメージを受けた03年の約66万人から、ようやくトンネルを抜け出し、04年は90万6104人まで回復、05年の目標として105万人の数字を掲げられるまでに盛り返してきた。
 その中でも50歳以上の旅行者の存在が、日本人旅行者数の増加傾向の中で重要なシェアを占めており、グアム島への日本人旅行者全体の約17%がこの年齢層となっている。またグアムにおける日本人宿泊者の統計によると、50歳以上の割合は年間平均で17%に達し、2月、4月、11月には全体の2割を超える宿泊者が50歳以上のシニア層で占められている。


4割近くが4泊以上の滞在

 シニア旅行者の存在は、短期滞在型のデスティネーションというグアムの固定イメージも変えていきそうだ。というのも、シニア旅行者が中心となりグアムの平均滞在日数を押し上げていると考えられるからだ。
 グアム旅行のパッケージツアーは2泊3日や2泊4日、あるいは3泊4日程度のパターンばかりが目立つが、旅行者の実態はより長い滞在にも十分な需要があることを示している。例えば、日本人宿泊者を対象とした統計を見ると、グアムに4泊する宿泊者は全体の27%、5泊以上も9%おり、4泊以上を合計すると全宿泊者の実に36%を占める。何と3人に1人以上がグアム島に4泊以上滞在しているのだ。
 そして、この滞在長期化を促しているのが、時間と経済力にゆとりのあるシニア旅行者の存在だと考えられるわけだ。

グアム政府観光局も
シニア・プロモーションを実施

 このようにシニア旅行者の存在感が増している中で、グアム政府観光局(GVB)もシニア旅行者への働きかけを本格化している。GVBではターゲットとするシニア層を「50代以上の、子育ての終わった世代」と定義し、さまざまなプロモーションを計画している。その一環として取り組んでいるのが、グアムで現地ならではの体験を楽しめるシニア向けのプログラム開発だ。これは例えば、シニア層向けの英語学習プログラムやチャモロ文化の体験プログラム、あるいは現地でのボランティア活動を通じた体験プログラムなどだ。
 また、旅行業界に対してもグアムへのシニア旅行の販売を促す目的で、旅行会社でのグアムセミナー開催なども計画している。さらに消費者向けのプロモーション活動として「シニアモニターツアー」を企画しており、7日間のモニターツアーと、2週間以上の日程となるロングステイ・モニターツアーを予定している。

シニア向けガイドブックを配布
参加者自身の体験談を掲載

GVBではシニア旅行者のためのガイドブック「ロマンスグアム」も用意している。このガイドブックにはGVB主催の「ロマンス世代のためのグアム特別モニターツアー(4日間)」に参加したシニア旅行者の体験記も掲載され、シニア旅行者とグアムの相性のよさが旅行者自身の言葉で、説得力を持って説明されている。
 例えば、60代カップルが体験ダイビングで海中散歩の魅力に目覚めたり、グアムで50代のディスコ・デビューを果たしたり、あるいは80代女性がグアムの自然と景観を堪能した様子が報告されており、シニア旅行者にとってはグアムの楽しみ方の手引きとしても読める内容だ。
 またガイドブックにはシニア旅行者に役立つ各種情報や、ロングステイ、バリアフリーに関する情報も掲載されており、店頭で配布することにより、シニア旅行者に対する旅行会社の情報サービスとしても利用できる。





シニア旅行者がグアム旅行を楽しむ上で、有望とみられる素材は数多くある。
代表的なものを紹介してみよう。


●チャモロビレッジ
〜グアムの伝統料理とダンス〜
 チャモロビレッジは政府運営の観光施設。園内でチャモロ料理を味わったり、伝統ダンスを鑑賞したりできる。
ギフトショップではメイド・イン・グアムの土産物も販売している。
≠ワた毎週水曜日の夕方からは、チャモロビレッジ内でナイトマーケットが開かれ、ロコや観光客の人気を博している。
*営業時間 平日09:00〜16:30
*水曜ナイトマーケット17:00〜21:30

●イナラハン チャモロ文化村
〜チャモロの生活を再現〜

スペイン統治が始まる前のグアム独特のチャモロ文化の説明やデモンストレーションが行われ、
チャモロ独特の家屋や生活が再現されており、手工芸品の手作りの実演なども行われる。




●グアム、ビッグサマー・フェスティバル
〜無料シュノーケリング体験も可能〜
 グアム政府観光局が主催するフェスティバルで、期間中は無料でシュノーケリングが楽しめる「ファン・シュノーケリング」、「フォトコンテスト」などが行われる。
 「ファン・シュノーケリング」は海中散歩に初挑戦しようというシニアには最適。また「フォトコンテスト」は写真愛好家の多いシニアには絶好の腕試しの機会となりそうだ。今年のフェスティバルは7月1日〜9月30日の開催が予定されている。

●英語教室
〜レベルに合わせて選べるプログラム〜
 アメリカ領グアムはもちろん英語が公用語。英語の学習環境としては申し分ない。
日本人シニアもグアムで英語を学ぶことができる。
例えば、グアム大学では「14週間の集中英語語学講座」、「英語アドベンチャープログラム」(5日間または10日間)、「個人英語学習」(5日間)など各種学習コースを設けており、各自の英語レベルに合わせて選択できる。このほか1〜4週間のプログラムもある。
 また、グアム・コミュニティカレッジは毎日英語講座を開設しており、レベルと希望に合わせてレッスンを選べるほか、英会話に親しむためのプログアム(20時間コース・40時間コース・60時間コース)もある。
【http://www.uog.edu/eli/】



● グアム政府公園局のトレッキング
〜秘境体験ブーニーストンプ〜
 グアム政府公園局が多くの人々にグアムの自然と親しんでもらう目的で、毎週土曜日に実施しているトレッキングツアーが「BOONY STOMP」。朝9時にパセオ競技場に集合し、トレッキングに出かける。
 ツアーは内容により1時間〜6時間程度で、グアムの秘境に案内してもらえる。料金は大人2ドルと格安。
ただし民間の観光ツアーではないので、自分で最後まで歩き通し、自己責任が取れるシニアの参加が望ましい。
【http://www.admin.gov.gu/dpr/boonie/home.html】

● グアムの星空を疑似体験
〜グアム大学プラネタリウムで開催〜
 グアム大学のプラネタリウムは一般にも開放されており、手軽にグアムの星空を疑似体験できる。
日本では見ることのできない南国の星空はシニアにとっても魅力的なはず。
 同プラネタリウムのホームページでは、グアムを訪問する予定の時期の星空について、事前に詳しく学んでおくこともできる。
グループで利用を申し込む際には、事前に利用希望日時・団体名・参加者の年齢層・参加人数・参加者名・
連絡先などの情報と共に予約の申し込みが必要となる。
 プラネタリウムの連絡先は電話671-735-2783またはEメール:stars@guam.net
【http://www.guam.net/planet/】

●グアムでセカンドハネムーン
〜もう一度、グアムで挙式〜
 1970年代に海外ハネムーンと海外挙式のブームが到来。多くのカップルがグアム島で挙式したりハネムーンを楽しんだりした。
73年のグアムでの挙式カップルは年間900組にも達した。そして当時の新婚層がいまやシニア層として有望な旅行需要となりつつある。このシニア層に「もう一度グアムで新婚旅行気分を」という販売促進は、シニア層にアピールするはずだ。
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 このように、さまざまな形でグアムを体験できるプログラムが存在するが、多様な興味や関心を持つ日本人シニア旅行者に対応していくには、プログラムや素材は豊富すぎるということはない。今後、現地での素材開発やプログラム開発の、いっそうの進展が期待される。