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同氏が「旅行のしおり」に寄せた言葉に、“3泊4日、仲間に添い、仲間と寝食を共にし、仲間を見つめ、仲間を守るという極めて当たり前な、極々基本的な、この仕事の原点。この原点が6年の歳月のなかで少し陳腐となり、垢にまみれてはいないだろうか”と書いているが、今回の旅行を「原点に立ち返る旅」と位置づけ、あえて困難とも言える海外旅行の実行に踏み切った。 「青葉メゾンは横浜市の中でもとくに重度の障害を持つ人が入る施設。知的障害に加え、身体障害も持つ利用者が多く、保護者や他の施設からもよく(青葉メゾンが海外に)行けたなという感想があった。その分だけ職員の達成感も大きかった」と振り返る。 。
中西氏は、グアム旅行を企画したことについて「施設の設立当初から最終目標は海外に行くことだった」と言う。そのために、計画は4年前から始め、まずは近場の1泊旅行を行い、次に神戸へ旅行、昨年には初めて飛行機に乗って2泊3日で長崎へ行くなど、海外へ向け徐々にステップアップを行ってきた。目的地を選ぶにあたっては、もちろん飛行機の長時間フライトが障害者にとって厳しいという点もあるが、「時差によって、てんかん薬などの投薬が難しくなるというのが、目的地を選ぶのに重要だった」と話す。そのことから、1,フライト時間が短い、2,日本との時差が少ない、3,バリアフリーが充実している、の条件を満たす場所を探し、その条件を満たすデスティネーションとしてグアムと韓国が候補に挙がった。最終的にグアムに決めたのは、時期的に気候が暖かく、飛行時間は約3時間半、時差も1時間であることや、島内のバリアフリーが充実しているということから、今回のグアム旅行が決定した。 現地の観光では、障害の程度により3グループ・8班に分け、それぞれの身体に無理がないようなコース設定。歩けるグループは積極的にバスから降りるようにし、恋人岬やアプガン砦、スペイン広場、チャモロビレッジなどを訪れたほか、イルカウォッチングやサブマリンツアー、グアムプレミアムアウトレットでのショッピングを体験。また、車椅子を利用するグループは、リフトバスを用意し、恋人岬やマイクロネシアモール、アンダーウォーターワールドなどを訪れ、それぞれがグアム旅行を満喫した。
さらに、以前に別の施設で障害者のハワイ旅行を体験した中西氏によると「ハワイの時よりもグアムの方が安心できた。ハワイは人が多く、迷子にならないか心配が絶えなかったが、グアムはそこまでの人混みが無かったのが良かった。さらに、どこへ行っても大抵日本語が通じるのも安心できた」と話す。 また、滞在中の食事について聞くと「日本の食事と大きく変わることがなかったので、全く問題なく、むしろ日本や施設内では食べられないような物が口にできて、生徒たちも喜んでいた」とのことで、とくに、宿泊したアルパンビーチタワーでは、食事の出し方やバイキングでの皿の置き方、料理はのどに詰まりやすいものは避けてもらうようリクエストするなど、細かな一つ一つの要望まで応えてくれたという。
さらに、日本では認可されていても外国には持ち込めないといったケースや、薬の量も個人としては問題ない範囲でも、障害者の団体では職員が一括して全員の薬を所持するという場合がほとんどなので、税関で引き留められるケースがあるという。 障害者に限らず高齢者などは薬を服用している場合が多いが、これらの人々が旅行を控える理由として、薬の問題と現地の医療体制に不安があるということが挙げらており、その点を解決すれば潜在的な需要を掘り起こせるのではないかという意見もある。現在、一般的な病気の症状に対しては現地の医療機関で治療ができ、言葉の問題も旅行会社などが医療通訳サービスを提供しているが、今後は、安 心して旅行ができるよう、さまざまな状況に対応できる医療関連の体制づくりに、政府や観光局、旅行会社などが一体となって取り組んでいく必要があるだろう。
今回の旅行に際しては、グアム政府観光局も全面的に協力をし、障害者団体を取り扱った経験のある旅行会社の紹介や、グループの出入国がスムーズにできるよう入国審査時の優先手続き、検査の簡素化といった便宜を図るなどしてグループを支援した。そのおかげで、出入国時のトラブルはほとんどなかったと言う。 一方、今後の課題として意見が出たのは、パスポートの申請の仕方や出入国時の免除できる範囲がどこまでできるのかなど、障害者向けの段取りがまだしっかり決まっていないことだ。脇田氏も、「道筋ができていれば、もっと行きやすくなると感じた。今回は(海外旅行が)初めてということもあったが、観光局や旅行会社に対し、こちらから聞いて初めて教えてもらうことが多かった」と話し、出入国時の便宜が特例ではなく標準化されることや、障害者向けの専用パンフレット等があればさらに旅行者は増えるだろう。
脇田氏は、旅行会社に求めることとして「何よりも利用者の健康と安全が最優先であることから、まずは施設や利用者のことをよく知っていてもらいたい。また、利用者それぞれに細かな配慮が必要なので、たくさんの要求を出さざるを得ないことを理解してもらいたい。」と話す。旅行会社を選ぶ時点で、実際に施設で研修をしたいという申し出をした会社もあったとのことだ。 旅行を終えて 同氏は、「障害者は外に出なくていいとか、旅行なんて行かなくていいというような風潮が以前にはあったことも事実。このように障害者団体が海外旅行をできるようになったのも、つい最近のこと。変わった末にグアムがあった」と語り、今回の旅行の成功で、青葉メゾンの利用者や他の職員も「海外旅行ができる」という自信が持てたという。 また、脇田氏が利用者たちに今回の旅行の感想を聞いたところ、「いつもなら誰かの意見に同調するだけが多かったが、今回は『あそこが良かった、ここがきれいだった、あの食べ物がおいしかった』など、一人一人が違うことを言った」と感想を述べ、利用者たちにもかけがえのない思い出になったという。この海外での経験を日常生活の中で活かし、その成果を確かめるためにも、数年後にもう一度海外へ行こうという目標ができたとのことだ。 写真に写る彼らの笑顔を見ると、心から旅行を楽しんでいるのが分かるだろう。グアムがバリアフリーで、ホスピタリティに溢れるデスティネーションであるということを、その笑顔から感じることができる。 |
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