業態別の経営分析(2月28日号)
二月一六日のJATA経営フォーラムで発表された旅行業の経営分析をみると、海外および国内旅行における主催旅行・手配旅行の一社当たりの営業損益はマイナス一六九一万円、五期ぶりの赤字となった。経常利益率はマイナス〇・五%、これでは、旅行業界の命題である利益率を何%確保するという状態ではなくなった。だた、これを業態別にみると、取扱高五〇億円以上の海外旅行系リテーラーは九・五%の経常利益率を確保するとともに、調査した三〇社中、二三社が黒字経営を行っている。調査の分析コメントでも海外旅行系リテーラーについて、「営業利益率・経常利益率・一人当たりの営業利益・経常利益が一番高く、営業経費率は一番低い」と良好な結果が出ている。総合大手でもリテーラー部門を強めているのは、こうした数字的な裏付けがあるからだろう。これに対して、海外旅行専業ホールセラーは経常利益率がマイナス〇・五%、一六社中一〇社が黒字だった。分析コメントは「一人当たり取扱高・収入・金融収支が一番高く、人件比率も一番低い」ものの「営業収入率が一番低く、広告宣伝比率は一番高い」。とくに、「未収金比率が一番高い」のが問題だろう。また、国内旅行専業ホールセラーが経常利益率三・七%、五社全てが黒字であるのと比べると、対照的な数字となっている。数字だけみると、海外旅行のホールセラーは割に合わないとも受け取れる。九九年度はこの傾向がさらに強まり、海外ホールセラーの寡占化は進んでいくとみられる。ただ、黒字企業だけの経常利益率を抽出すると、海旅系リテーラーは一四・六%と確かに高いが、海旅専業ホールセラーも三・九%と高い収益性を確保しており、こうした黒字企業に学ぶ必要があろう。むしろ問題は航空座席を卸す海旅ディストリビューターにある。全体では経常利益〇・九%、黒字企業は一二社中九社だが、その黒字企業の経常利益率が九七年度一〇・三%だったのに対し九八年度は五・〇%と半減した。九九年度はさらに厳しくなると予想され、エアオン業者は曲がり角に来たと言える。(石原)
旅行業と航空業(2月21日号)
弊社は先週と先々週、旅行業就職セミナーと航空・空港関連業界就職セミナーを東京、大阪、名古屋、福岡で開催したが、業界に就職を希望する学生からは鋭い質問が相次いだ。とくに、今後の旅行業界への展望として、航空会社が航空券の直販化を促進したり、旅行会社へのコミッションカットを実施した場合、旅行会社の経営はどうなるのかといった質問があった。現在はまだ、IT運賃と新PEX運賃の価格差があるので、ITを使った格安航空券が市場に出回っているが、この価格差がほとんどなくなった場合、格安航空券は価値を失う。その時、旅行会社は格安航空券を含めて航空券を代売する意味がなくなる。旅行会社が航空券を販売する場合、JTBがローソンのマルチメディア端末「ロッピー」で行っているように、国内航空三社の航空券を販売する方法がある。わが国ではまだ航空会社が共同で航空券を販売するサイトは出てきていない。旅行会社なら比較販売が可能なため、インターネット上で各社の航空券を比較販売することができる。航空券代売はこの方向性にあると考える。しかし、航空会社のアライアンスが促進される中で、いずれは航空会社が共同で航空券販売のサイトを構築することも予想され、これも楽観はできない。就職セミナーでも航空会社サイドから、インターネットによる直販化のシェアは確実に高まっており、今後Eチケットとともに促進していくと明言している。旅行業と航空業を考える時、もう「旅行会社あっての航空会社」、「旅行業と航空業の共存共栄」といった「玉虫色」の話は終わりにすべきだろう。欧米同様にわが国でも、旅行業における航空会社の主導は確実に強まっている。JALの成田空港における団体チェックインの廃止も、その象徴といえる。旅行商品でも航空会社指定商品が主流になってくる。そうした状況の中で、旅行会社はJATA松橋会長が語るように「品質重視」の商品造成に転換しなければならない。(石原)
共同企画ツアー(2月14日号)
グローバルユースビューローと科学雑誌ニュートンの提携による旅行商品の造成は、旅行業の新しい時代の流れを予感させる。グローバルの古木康太郎社長は、「異業種と提携して知的財産を共有する旅を提供したい」と抱負を語る。これからの旅行会社のあり方としてJATA松橋会長は「専門特化」を強調しており、グローバルの方向性はこの流れに沿うものだ。とくに、旅行会社自らが専門特化することも重要だが、専門的な異業種と提携して、双方が補完し合う形で、新しい旅を創造するということが注目に値する。グローバルは「旅は文化」を経営理念に、これまでも様々な旅行商品を企画、また、クラシックコンサートなどを文化的なイベントを開催している。これまでも、スポーツイベントなどで異業種と提携することはあったが、グローバルとニュートンは定期的に提携旅行商品を造成するとしており、今後の展開に対して期待は大きい。本紙は旅行業界専門紙という性格上、旅行会社の企画商品については公平に報道することを是としており、自らが旅行を企画することはしなかった。しかし、今回、旅行業界に就職を希望する学生から「業界を体験研修するツアーに参加したい」という希望が多いため、日本交通公社、近畿日本ツーリストと当社が共同企画し、それぞれの旅行会社が主催する形で、「旅行業界研修ツアー・イン・グアム」を実施することになった。このツアーは毎年開催している旅行業界就職セミナーから派生したものだが、旅行業界専門紙として、さらに一歩踏み込み、ツアーを企画するのは学生だけでなく、我々が旅行業界を深く知る上でも重要なことではないかと思い、実施することにした。ニュートンではないが、我々も旅行や航空業界の専門紙を発行している以上、こういうツアーがあったらという思いは強い。姉妹紙WINGでは、パリやファンボローの航空宇宙ショー視察ツアーを企画していた時期もある。もちろん、報道の基本姿勢は今後も変わらないが、業界に貢献できるなら試してみる価値はある。(石原)
Iネット運賃(2月7日号)
二月一日、改正航空法が施行された。これを受けて、航空三社はそれぞれ国内線の新しい割引運賃を発表し、四月一日から導入する。その中で、最も注目を集めたのが、日本航空が五月から期間限定で導入する「インターネット運賃(仮称)」だろう。現行の二五%引きとなる同運賃は、まさにインターネット時代を象徴するものといえる。日航では、インターネット運賃を自社のホームページとジャルパックの「eトラベル」で展開するという。「eトラベル」内の国内線予約・申込みは日航が運営していることもあるが、日航はインターネット運賃について、「他の旅行会社がホームページ上で販売したい場合は検討する」としており、ホームページ上で旅行商品や航空券を展開する旅行会社は、積極的にインターネット運賃を販売するべきだと思う。また、全日空もモバイル(携帯端末)におけるインターネットサービスを充実させており、NTTドコモのiモードだけでなく、DDIグループでも全日空、エアーニッポンの国内線の予約を可能としている。いずれ、全日空や日本エアシステムもインターネット割引運賃を導入するかもしれない。旅行会社の強みの一つに、自社で複数航空会社の運賃を販売できる点がある。実際、JTBはローソンのマルチメディア端末「ロッピー」で、航空三社の国内線航空券を比較販売している。旅行会社はこれをインターネット上で行うべきだと思う。確かに旅行会社の本道が品質重視の旅行商品を造成し、コンサルティングを業務の中心に据えるというのはわかる。しかし、それだけで収益を上げることも、これまた難しい。航空券や宿泊券ほどインターネットで販売するのに適している商品はない。通産省関連の調査で旅行のEC市場は二〇〇四年には一兆円を超え、EC化率は七・七%に達するとあったが、多分一〇%を突破するのではないか。日本のECビジネスの普及は予想をはるかに超える勢いで進んでいる。(石原) |