-毎週月曜日発行-
2000年3月

潮流

「共存共栄」の解釈(3月27日号)

 日本航空のインターネット割引運賃「e割」をに端を発して、インターネット上における国内航空券の取扱いをめぐり、国内航空3社と旅行会社とで駆け引きが続いている。JATA(日本旅行業協会)は旅行会社のホームページで国内航空券を取り扱うべく航空3社に要望書を出すことを決めた。これに対して、航空3社は一様に回答は「正式に文書が来てから」としているが、原則としてネット上での国内航空券の販売により直販化を促進することを否定していない。先のJATAの経営フォーラムでも「旅行業と航空業のあるべき姿」が議論され、その中で「共存共栄」という言葉が使われていたが、どうも航空業界と旅行業界では「共存共栄」の解釈が違うように思う。両者とも厳しい経営環境にあって変革を迫られているが、航空業界は現状打破、攻めの姿勢なのに対して、旅行業界はどちらかと言えば現状維持、守りの姿勢が感じられる。はっきりしているのは、航空業界は「直販化」により旅行会社とすみ分けの方向を模索していることだ。「e割」について日航は「テストマーケティング」としているが、全日空、日本エアシステムも同様のネット割引を検討している模様だ。とくに、日航は「JALセールスネットワーク」の4月からの営業開始に伴い、グループの結束を強めている。ジャルパックの旅行サイト「eトラベル」内で「JAL運営」ながら「e割」を扱っているのもその一環だろう。ジャルパックは日航グループ変革の中で、ホールセラーとしてもさることながら、JALの販売部門の一部としての役割を強めつつあり、旅行業と航空業の狭間で微妙な立場になりつつある。ジャルパックは旅行会社というよりJALの販売部門の一部となっていくだろう。全日空ワールドも同様の位置づけになるとみられる。そうした中で、旅行業最大手のJTBも4月からの組織改正の中で、格安航空券の拡大など独自の戦略を強めている。
ただ、これは、あくまで総体的なもので、とくに旅行業界では会社によってその姿勢は異なる。JTBの場合、四月からの組織改正やグループ2カ年計画を見ても相当の危機意識を持っており、ネット上の国内航空券取扱いを強く求めている。また、HISもソネットと合弁会社を設立し、ネット上の旅行商品、航空券などの販売に本格的に乗り出す。

 HIS動く(3月20日号)

 HISが、ソニーコミュニケーションネットワーク(サービス名So―net)と旅行サイトの新会社「スカイゲート」を設立し、8月からサービスを開始すると発表した。HISは自社ホームページで旅行商品の予約・販売を行っているが、澤田HIS社長は「お客様は高速化を求めており、自社で運営するには限界があり、So―netと組むことにした」と説明した。また、新会社はHISだけでなく、他社の旅行商品商品や航空券も海外、国内、とくにスカイマークエアラインズのみならず既存航空各社のチケットも販売したい意向を示した。新会社は既存の旅行サイトと違う点として、自動化と海外との連携を上げている。自動化については、So―netの決済システム「スマッシュ」や各種クレジット、デビットカードにより予約から決済に至るまで自動化する。したがって、旅行商品はかなりシンプルなものに特化するとみられる。また、HISの海外情報網をホームページ上にアップデートに掲載し、情報色を強める。澤田社長は従来から旅行産業を情報産業と位置づけており、新会社はその先兵的な役割を担う。コンビニについては販売チャネルとしてよりも、決済手段とみており、「すべてのコンビニで決済できるようにしたい」と述べている。メールソフト「ポストペット」を売りに会員が増加しているプロバイダー、So―netとHIS連合は既存の旅行サイトには相当の脅威となろう。「JTBインフォクルーにはJTBの商品のみ、イサイズも商品は少ない。スカイゲートはHISだけでなく様々な旅行商品や航空券を販売する」(澤田社長)と、強気なコメントも残している。澤田社長は「HISの登場で旅行業界は変わったが、ITによるECビジネスで今後さらに大きく変化する」として、「HISの店舗展開が縮小し、旅行商品販売の中心がスカイゲートになるかもしれない」と、時代の流れがHISから新会社に移る可能性も言及している。JTBに続いてHISも動き出した。(石原)

業界に新しい風を(3月6日号)

 東南アジアの有力ツアーオペレーターであるニュージャパンツアーズに続き、長崎屋系の旅行業代理業のサンバードツアーズ、明治乳業系のインハウスエージェントの明治トラベルが相次いで旅行業の廃止に踏み切った。明治トラベルの場合は、「今期の業績は非常に良く、顧客や取引先からも事業存続を希望する声が寄せられた」(二宮同社社長)から惜しまれつつの事業廃止だが、やはり「旅行業の先行き不透明」により、体質の強い時の撤退となった。三社とも一般消費者や取引先業者への支払いで迷惑を掛けないことを明言しており、これまでの教訓が生かされているとも言える。それにしても、やはり残念である。二一世紀は観光の時代、旅行の時代と標榜しながら、実際には二一世紀は旅行業の展望が開けないことを証明しているようなものである。三月期決算を目前にして、今後も事業廃止が続くと、「淘汰の時代」なのかと思ってしまう。規制緩和、競争の時代と言ってしまえば、それまでだが、旅行会社が集約されていくことも考えものである。とくに、若い人が旅行業界に魅力を感じなくなっているのではないかと最近思っている。今でもJTBや近畿日本ツーリストをはじめ大手の旅行会社への就職希望学生は非常に多いが、今年の就職セミナーでは全体にトーンダウンしていたことは否めない。その原因は旅行業界の先行き不透明にあるのだろう。当然、撤退があれば参入する会社もある。それによって業界が活性化するのだが、JATAの会員数を見ても撤退が目立って、会員数が減少しているのが現状である。ソニーやイトーヨーカ堂の金融界への進出ではないが、もっともっと異業種の業界への参入があればとも思う。異業種の参入は業界に新風を呼び込む。当然摩擦もあるが、新しい風が吹くと、そこに新しいマーケットが生まれる。それが業界に必要だと思う。そうならないと、目先の儲かっている市場を奪い合う状況になる。その兆候は既に出てきている。(石原)



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