仮想旅行サイト(4月24日号)
JTBとヤフー、ソフトバンクグループが合弁で、旅行サイト運営する新会社「たびゲーター」を設立する。この発表に対して、業界の反応は様々で、「今年の旅行業界で最大のニュース」と見る向きもあれば、「ネットビジネスは収益比率も低く、採算はまだまだ」と冷ややかな声もある。業界最大手の旅行会社とネット業界最大のブラウザが組むという事実、ネット上で旅行関連商品を販売する上で、これ以上の大きな提携はないかもしれない。今後の「旅行Eビジネス」の行方を左右する重大ニュースだと思う。これまで、旅行サイトを立ち上げるとき、必ず引き合いに出されるのが、通産省とマーケティング会社が調査したネットビジネスの長期予測だ。ジャルパックの「eトラベル」、HISとソネットの「スカイゲート」、今回のJTBとヤフーの「たびゲーター」は、Eビジネスの旅行需要予測は全てこれに基づいている。この調査は毎年行われているが、実数の伸びが加速度的で、予測が上方修正されている。それほど、Eビジネスは普及してきたということだろう。先の郵政省の調査でもインターネットを利用する企業は八割に達し、そのうち六割が販売活動、つまりEビジネスを手掛けている。もちろん規模の大小はあるが、もはやネットビジネスは当たり前になったということだ。そうなると、消費者にいかに選ばれるサイトにするかがネットの優劣を決める。その第一は豊富な品揃えで、どれだけ魅力ある旅行商品を提供できるか。自社だけでなく、良質の旅行商品を造成している旅行会社を取り込むことがサイトのグレードを上げる。第二にどれだけ見栄えのあるホームページをつくることができるか。最新の旅行情報を提供するとともに、動画を使って旅行が疑似体験できる。パンフレットでは到底できない最新の「動く」情報がそこには溢れる。JTBとヤフーの提携はそれが可能になり、文字ベースから静止画、そして動画へと進化する仮想旅行サイトの登場を予感させる。
(石原)
公平な競争を(4月17日号)
日本航空は四月一日から成田空港での団体チェックインカウンターの廃止、個人チェックインカウンターの切り換えを開始した。一面にもあるように、センディング業者は団体カウンターの廃止で、その対応に追われているが、その中でも明暗が分かれているようだ。団体用のカウンターは協議の結果、G、Hアイランドの共用部分を中心に合計32ブースを確保し、これを現在G、Hアイランドを使用している各社に、また、Iアイランドの北側部分を現在Iアイランドを使用する各社にそれぞれ供用するとしていた。実際には、Iアイランドの片側(一方は個人用チェックインカウンター)はJTBとジャルパックが分割供用する形となっており、この二社は他の旅行会社と比べて「別格扱い」となっている。ある大手旅行会社の成田担当者は、「取扱人数からみてJTBが片側半分を使用することはわかるが、ジャルパックが同じ半分を占有するのはJALの子会社だからだろう」と不満を隠さない。事実、その大手旅行会社はバッハカウンターで、しかも他社と雑居状態に追いやられていた。同じ四月一日からJALは「JALセールスネットワーク」の営業を開始した。既に新会社は第一種旅行業の免許も取得している。以前、インターネット運賃でも触れたが、JALの航空券直販化は航空会社の方針として理解できるが、子会社とはいえ旅行会社であるジャルパックを常に最優先することは公平性から言って好ましくない。また、旅行業界のリーディングカンパニーであるJTBは、航空業界の同じトップカンパニーであるJALに対して、公平性の観点からそれを主張すべきで、ジャルパックと呉越同舟してアイランドを分割供用することは、「両社で話し合った」と勘ぐられても仕方がないのではないか。「JTBは覇権主義」という人も業界にはいるが、企業が業界で覇権を求めることは当然のことだ。だが、それにはルールがあり、違反すれば、マイクロソフトのように法律で罰せられる。JALも「旅行業界と共存共栄」と言いながら実は「特定の旅行会社」ではないかと疑われかねない。業界のトップ同士、常に公平な観点で競争してほしい。(石原)
コンビニで代金収受を(4月10日号)
コンビニエンスストアで、旅行商品を買う人が本当に沢山いるんだろうか?素朴な疑問である。確かに、JTBはローソンのマルチメディア端末「ロッピー」で主催旅行商品を販売している。しかし、全体から見れば微々たる数である。販売チャネルの一つとしてのコンビニの存在は認めるが、どうもコンビニの存在を過大評価しすぎているのではないか。HISの澤田社長はソネットとの合弁会社設立会見で、「決済手段としてのコンビニの存在は非常に大きいが、コンビニで旅行商品を買おうと思う人は少ないのではないか。コンビニでの滞留時間は平均五分という。そこで、旅行商品を購入するとは思えない」また、大手旅行会社の幹部も「コンビニで旅行商品を購入することはもう時代遅れではないか。コンビニに行く時は既に予約を終えて、代金を払うだけだろう」同感である。コンビニに長くいるのは、雑誌の立ち読みくらいで、大多数は目的意識がはっきりしている。一般消費財は当然として、チケット類でもコンビニに行く前から誰のコンサートの、どこの試合のチケットを購入するか決めており、マルチメディア端末の前で、あれこれ悩んでいる姿はまず見掛けない。航空券や宿泊券でも同じだ。コンビニに行ってからどの方面に行こうかと悩む人は少ないと思う。航空券なら最初から例えば札幌に行こうと決めて、3社比較で申し込むというのが自然の流れではないか。一方で、インターネットは「ネットサーフィン」というように「波乗り」状態の人もいれば、時間と課金を忘れて漂っている人も多い。回線料が定量制になれば、さらにネットに滞留する人は増えてくるだろう。ネット上で、いろんなホームページを見ながら、旅行商品を予約する。今は格安商品ばかりだが、いずれは「品質」も伴った旅行商品がネット上に登場するだろう。その場合、オンライン決裁でもいいが、直接払った方が安心だから、近くのコンビニに代金を持っていく。持ち合わせがなくても、コンビニのATMで引き落とせば一石二鳥。旅行に関してはコンビニは「代金収受機関」で業界の競争相手とはならないのではないか。(石原)
羽田国際化せよ(4月3日号)
今から三年前に小紙の編集長として初めて書いた潮流は、「翼は羽田と共に」だった。羽田沖合展開で新C滑走路が供用開始した時の山地元日航社長が語った言葉、「翼という字は羽田と共にと書く」を引用し、羽田空港の二四時間化で、「再び羽田国際化の時代が来る」と指摘した。当時も羽田国際チャーター便が今にも飛びそうな勢いだった。あれから三年、新B滑走路の供用開始に伴い、羽田発着枠の増枠と共に、運輸省は羽田国際化に向けて検討委員会を設立した。成田は暫定滑走路の着工で、二本目の滑走路への道を開いたが、これは逆に二〇〇〇m強の滑走路という限界を示した。したがって、首都圏という大海外旅行市場を考えれば、成田を補完する方法は羽田の国際化以外に道はない。千葉県に対する騒音問題、CIQなどクリアすべき課題はあるが、運輸省が本気で取り組めば必ず解決できるし、今度こそはそうしなくてはいけない。羽田国際化は航空・旅行業界にとっては最大の好機である。ITCや定期便との価格差は、この際置いておく。朝夜に羽田国際チャーターをどこに飛ばすか。グアムやサイパン?とんでもない。東京から飛んでいないところが沢山ある。ベトナム、ミャンマー、モンゴル、ネパール、ウズベキスタン、カザフスタンなどなど。東京から行きたくても行けない。これを採算ベースに乗せて旅行商品を造成できるか。これこそ、旅行会社の腕の見せ所である。かつてのトーマスクックではないが、旅行者にチャーター便でニーズに応えることが旅行会社の原点という人もいる。消費者にも業界にも喜ばれる羽田国際化を行政が拒むとしたら、「一体誰のために仕事をしている」と尋ねればいい。「成田は国際線、羽田は国内線」そんな閣議決定は改めればいい。厳しい経済環境の中で、首都圏国際空港の建設など凍結すればいい。それより、羽田の再沖合展開の方が現実的なことは誰でも知っている。場合によっては、成田、羽田を一元的に管理しても良いのではないか。「羽田空港を国際化し、成田空港と共に増加する国際旅客需要に応える」国・運輸省の決断に期待する。(石原) |