-毎週月曜日発行-
2000年5月

潮流

進む航空会社の再編(5月1日・8日合併号)

 航空会社の再編が進んでいる。遂に、カナディアン航空はエア・カナダに買収された。四月四日にはエア・カナダ(ACA)は全日空とのコードシェアリングで東京―トロント線を就航し、スターアライアンスの強固なところをアピールした。反面、カナダ太平洋航空時代から日本に馴染みの深かったカナディアン航空(CDN)は終焉の時が近い。ブリティッシュ・エアラインズ(BAW)との提携で、「新しい翼」に変わることをPRしているCDNの日本語ホームページを見ていると、理想と現実の乖離をまざまざと感じる。三五〇〇万ドルを投じて、ワンワールドはグローバル広告キャンペーンを始めたが、そのリストには当然CDNの名前はない。ただ、CDNのロゴマークだけが未だに記されている。航空会社の再編の速度が進みすぎて、その対応が間に合わないことを物語っている。一方で、デルタ航空とエールフランスを中心とする新しいアライアンスも着々と進行している。この連合にはアエロフロートやエアロメヒコなども参加する。また、ノースウエスト航空、KLMを中心とするアライアンス「ウイングス」も動きが出てきた。とくに、KLMとアリタリア航空の合併は時間の問題のようだ。日本事務所サイドの動きも慌ただしくなっている。さらに、四月からスターアライアンスに加盟したシンガポール航空(SIA)がニュージーランド航空(ANZ)の株式を二五%取得した。二五%はニュージーランドでナショナルキャリアを買収する上限の資本参加率で、ANZはSIAの傘下に入った。これでSIAは、ANZの子会社のアンセット・オーストラリア航空、さらにはヴァージン・アトランティック航空も系列に収め、メガキャリアの道を着実に歩んでいる。スターアライアンスへの参加は後発とはいえ、その影響力は中核メンバーのユナイテッド航空、ルフトハンザドイツ航空の次にランクされるのではないか。アジアでの発言力は全日空、タイ国際航空よりも強まるとみられる。生き残りを賭けて、今後も航空会社の買収・再編・統合はさらに進むだろう。(石原)

SIT旅行(5月15日号)

 最高の人出で海外も国外も賑わった二〇〇〇年のゴールデンウィークは終わったが、期間中グアテマラで、ツアー中の日本人旅行者と現地バスの運転手の二名が死亡するという痛ましい事件が発生した。事件の内容は一面に譲るとして、事件に遭遇したツアーが、SIT旅行で実績のある旅行会社だけに残念だ。エジプトの危険度が緩和されて、ナイル川のナイトクルーズが事実上解禁になった矢先のことだけに、なおさら今回の事件が悔やまれる。一部新聞で報道されているように、旅行会社が現地最新情報を把握していなかったとは思わない。グアテマラ政府観光局は手配会社にツアー日程の事前提出を義務づけ、今回のツアーも承認していたことを明らかにしている。ただ、今回の事件は、つい最近まで政情不安だった国々への旅行は細心の注意が必要であるとともに、どんなにその地に精通した旅行会社、旅行者でも「不可避」なことは起こりうるということを改めて認識させた。トドス・サントスの土曜市で、暴動が起きることが予測できたかどうか。事件発生後は何とでも言えるが、観光コースになっていた場所だけに、非常に予測は難しかったのではなかろうか。「量より質」「専門店の時代」が旅行業界で言われ、旅行会社が独自の特色あるパッケージツアーを企画すればするほど、SIT旅行に近づいていく。これまで、SITは一般的なパッケージツアーと比べて割高という印象があったが、最近は値頃感のある商品が登場している。今回事件のあったツアーもキャンペーン商品ということで、一一日間コースで三〇万円台と、他社商品と比べてもリーズナブルになっている。これは、特殊地域に強い旅行会社だからこそ、仕入努力等で設定できたと思うが、今後も低価格化の波はSITにも波及していくものと思われる。今後、専門の旅行会社だけでなく、大手・中堅含めて専門性のある旅行商品を造成するときは、慎重に慎重を期すことが望まれる。電話、FAX、インターネットなどあらゆる情報伝達手段を用いて最新の現地情報を把握することはもちろんだが、専門の旅行会社のツアーでも事故が起きるということを肝に銘じなければならない。(石原)

航空会社共同サイト(5月22日号)

 ASTA(米国旅行業者協会)は航空会社が共同で開設を計画している旅行サイトに神経を尖らせている。去る二月に、米国大手航空会社四社中心に開設するトラベルサイトに対して、旅行業の独占に当たると米国司法省に申し立てを行ったのに続き、今度は欧州航空会社一〇社が共同で設立する計画のトラベル・ウェブサイトに対しても独占禁止法違反の申し立てを行った。ASTAのギャロウェイCEO兼会長は、航空会社の共同サイトについて「競争の機会を失わせ、共同で価格操作を行い、消費者がそれを支払うことになる」と指摘しているが、本音は「旅行会社の排除である」との見解を隠さない。世界中に広がるASTA二万八六〇〇以上の会員にとって航空会社共同サイトは死活問題との認識だ。これはわが国の旅行業界にとっても対岸の火事ではない。最初は国内線、欧州域内線に限定するかもしれないが、当然国際線を視野に入れていることは間違いないだろう。Eチケットと航空会社共同サイトは連動している。日本の航空会社も既に、東京―大阪線のシャトル便で共同サイトの運営を計画していることを明らかにしているし、インターネット運賃も日本航空と日本エアシステムが設定している。整備や運航部門における国内航空会社間の提携は進んでおり、今後は日本でも企業―消費者間、企業間における電子商取引の共同サイト運営の方向にある。かつて日航のある幹部は「ワンワールドの加盟よりも国内航空会社同士で様々な分野でアライアンスを組むことが先決」と言い切った。その一つとして航空券直売という共通目的から、国内航空会社が共同サイトを開設することは航空会社サイドから見れば時代の流れと思う。しかし、旅行業界がこれを受け入れることは、ASTAではないが死活問題になりかねない。JATA(日本旅行業協会)がこれにどれだけ危機感を持っているかわからないが、日本の法体系の中で、航空会社の共同サイトが問題があるかどうか、旅行業界として十分に研究しておく必要があるだろう。(石原)


拮抗した競争を(5月29日号)

 ファミリーマートが発表したウェブサイトと各コンビニエンスストアに設置するマルチメディア端末を融合させたEC(電子商取引)新会社、「ファミマ・ドット・コム」の設立により、コンビニにおけるEC新会社は出揃った感がある。気になるのは、既に先行してマルチメディア端末を展開しているローソン、デイリーヤマザキを含めて、コンビニのほとんどが日本交通公社(JTB)の旅行関連商品を取り扱うことだ。JTBがコンビニでの旅行関連商品の販売で、他社を一歩も二歩もリードしていることは認める。ここに至るまで先行投資を行い、ノウハウの蓄積も充分にある。コンビニ各社もウェブサイトやMM端末のコンテンツを充実する上で、JTBの旅行関連商品が必要と判断したとしても仕方がないだろう。JTBは自社だけでなく、他社の旅行商品の販売も手掛けるとともに、コンビニ各社の特性に合わせた独自商品の販売を表明している。しかし、これだけ旅行会社がある中で、揃ってJTBと提携するのは、他社に競争力がないということなのか。確かに、コンビニで売れる商品は限られる。旅行商品だけでなく宿泊券、航空券、テーマパーク等の入園券など、総合的にみるとJTBは強いということになるが、それにしても一社が独占するというのは、業界全体にとって、果たしてこれでいいのかと思う人は多いだろう。ウェブサイトにおける旅行商品の販売に関しては、各社しのぎを削っているが、ここでもJTBは先行している。気の早い人は、「今年一番の旅行業界のニュースは、JTBとヤフーの合弁会社設立」と言い切る。国内最大の旅行会社と検索サイトが提携したことの持つ意味は大きい。これに対抗するには一社単独では無理がある。大手各社を含めて提携して総合旅行サイトを構築する時期に来ているのではないか。自社のサイト、ショッピングモールの展開ともに、旅行会社の提携・主導による総合旅行サイトが構築されることで、拮抗した競争が図られる。



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