-毎週月曜日発行-
2000年7月

潮流

 成田の「切り札」(7月3日号)

 羽田空港有効活用検討委員会の第三回目の会合が開催された。今回の会合では、羽田空港における国際チャーター便の運用についての話し合いが行われなかった。あれほど盛り上がっていたのに一体どうしたことか。先の衆議院総選挙でも大田区のある東京四区の候補者は揃って羽田の国際化を訴えていたにもかかわらずである。運輸省は千葉県の配慮からか、羽田の国際化について、まずは国際ビジネス機の運用を認めることでソフトランディングし、その後に国際チャーター便に結び付けていく考えのようだ。千葉県側も羽田の国際化には危機感を募らせており、「切り札」を用意しているとの観測も流れている。羽田の国際化をただ反対していても、二階大臣が語るように「羽田空港の深夜早朝便の時間帯の国際チャーター便等の就航は、国民共有財産である羽田空港を出来るかぎり有効に活用する観点からオール日本で対応を考える必要がある」との流れに逆らうことはできない。「切り札」をいつ切ってくるかはわからないが、それは成田空港の運用時間の延長による「発着枠の拡大」など弾力的な対応を示すことのようだ。成田空港の現行の運用時間は午前六時から午後一一時までだが、仮に午前〇時まで一時間延長すると、単純計算で行けば、現行発着枠の一日三七〇回が、少なくともプラス二〇回、一日三九〇回まで広がる可能性もある。あくまで仮定の話で、地元の環境対策の問題もあり、そう簡単に現実化するとは思えないが、実現すれば航空会社にとっては朗報である。千葉県がもし、成田空港の運用についてここまで弾力的な考え方を示すならば、大いに評価したい。規制緩和は空港容量が始めにありきで、そこから競争促進が可能になるわけで、成田や羽田のように最初から空港容量に制約があったり、国際・国内空港の定義付をしてしまうと競争もままならない。成田の運用時間も広がり、羽田の国際化も可能になることが競争の前提だ。増便も減便も需給バランスで決まることであり、先ずは「器」が広がらなければそれもできない。(石原)

 旅行会社共同サイト(7月10日号)

 今やどこの新聞、雑誌でもインターネット関連の記事が載らない日はない。旅行業界もしかりで、本紙もネット関連記事が一つの柱になるほど記事量が多くなった。旅行業界で最も関心あるニュースが旅行ECビジネスである状況を踏まえると、これが時代の流れというものだろう。ただ、流れを整理する必要がある。まず企業間取引と企業―消費者間取引を別個に考えなければならない。企業間取引では旅行会社とサプライヤーの取引が今後インターネット上で行われるようになる。これはGDS(CRS)の今後の方向性と絡んでくる。一口にGDSと言っても、航空会社系列化にあるもの、独自色を強めるものと方向性は様々だ。旅行会社には端末が増えるばかりだが、逆に後発のCRS会社ではホスト結合を進めるところも出てきている。その一方で、企業間取引でも航空会社の共同サイト設立が具体化している。航空会社の合弁で出来たCRS会社と航空会社がインターネット上で競争する時代になるのかもしれない。旅行会社にとっては、仕入れソースが増えるわけだが、ネットを制するための主導権争いに翻弄される可能性もある。とくに中小の場合は、自社の規模を踏まえたCRS選びが必要となろう。一方、インターネット上の企業―消費者間取引はどうなるか。「コンビニ・ネット」はほぼJTBが掌中に収めた感がある。だが、現状を見る限り、インターネット旅行商品販売の中心は国内宿泊商品と格安航空券。国内航空券についてはJALの「e割」をみても分かるとおり、現状で旅行会社の取扱いは認められていない。その一方で、羽田―大阪線のシャトル便で国内航空会社は共同サイトを設立する。これが、3社共同のサイトに発展する可能性は充分ある。国際線では前述の企業間取引と同様に、企業―消費者間でも航空会社共同サイトが実現に近づいている。航空会社と大手旅行会社のサイトが大きく動いている中で、中小の旅行会社はインターネットへの取り組みに益々後れをとっている。一日も早い旅行会社共同サイトの構築が望まれる。(石原)

 日旅の合理化(7月17日号)

 日本旅行とJR西日本の旅行事業部門であるTis本部が二〇〇二年四月に事業統合すると、一般紙の一面トップで報道された。日本旅行、JR西日本ともにこの事実を否定したが、現実には九九年四月にJR西日本はJR東日本から日本旅行株を買い取り、三三・三%の筆頭株主となった。また、JR西日本は九九年四月から旅行事業部門であるTis本部を社内分社化し、常務・Tis本部長の南隆明氏が日本旅行の代表取締役専務に就任、今年の二月には代表取締役副社長に昇格した。こうしたことが合併報道に至った背景にあるのだろう。他の業種を見ても分かる通り、親会社が社内で関連事業部門を社内分社化し、関連子会社と業態で一本化しているのは、時代の流れといえる。以前、JR西日本がTis本部を社内分社化することを発表した時、同社では輸送業と旅行業が似て非なるものであること、旅行業のエキスパートを育成するためにも社内分社化が必要であることを強調していた。それぞれに独自性があり、とくに日本旅行は老舗の旅行会社であることから、そう簡単に合併までに至らないだろうが、人事交流、商品造成、システム統一化など両社の提携は進んでいくとみられる。それよりも、ここ数年の日本旅行の経営状況の方が注目に値する。日本旅行は九九年一二月期の決算で営業利益を確保したが、前期比五%減の営業収益に伴い、人件費を一〇%圧縮した。九八年も人件費を九%削減している。九六年決算時の営業費用が六四八億円、これが九八年は五八七億円、九九年は五五三億円と四年間で一〇〇億円近くも削減した。いかに社内で合理化を進めているかわかる。九七年から始まった日本旅行の新中期計画では九九年は営業収益七二〇億円、営業費用七〇七億円、営業利益一三億円を目標にしていた。結果的に九九年は営業収益五五七億円にとどまり、営業利益を確保するために、思い切ったコスト削減を実施したと推察する。日本旅行としては今年度で収支改善することが当面の目標で、その先を見ることは現状では難しいだろう。(石原)

 巨大ラウンジ(7月24日号)

 成田空港第一旅客ターミナルにオープンした第二サテライト内のユナイテッド航空のラウンジは、想像を超えた強大なものだった。世界一の航空会社、スターアライアンスの「牽引車」の面目躍如である。第二サテライトに一緒に入居している航空会社は、UAのラウンジの大きさに比して、残念ながらその印象は薄い。問題のUAの看板は他社に配慮してか、ブラインドを降ろしていたが、あまり意味はない。UAでは新ラウンジについて「当社の中では世界最大規模」と説明しているが、これほど巨大な一つのラウンジを見たことがない。吹き抜け構造の四階建て、ファーストクラス一六五席、ビジネスクラス四六七席、計六三二席とビジネスクラスに一五の個室シャワールーム(トイレ、洗面台付)、ファーストクラスに五の個室とマッサージ付リクライニングシート四席を配置した休憩室まで完備、正に至れり尽くせりである。設計を変更して、完成が一年遅れたというのも頷ける。新ラウンジはUA路線や全日空とのコードシェア路線利用客、スターアライアンスのゴールドカード保有者などが利用できる。しかし、これだけの巨大ラウンジを建設した理由の一つは、全日空の第一ターミナル移転を見越してのものと思われる。コードシェア路線のビジネス客はこのラウンジが利用できて、第二ターミナルの全日空路線のビジネス客がこれを利用できないのは不公平である。折しも、成田空港ターミナルの航空会社再編が論議されているが、このラウンジを見て暫定滑走路が供用し、第三、第四サテライト、南ウイング(第五サテライト)等が完成する時には、提携の変遷にもよるが、ターミナルは再編されるだろう。その時は新ラウンジのロゴマークはUAからスターアライアンスに変わっているかもしれない。日航に次ぐ成田路線便数を誇るノースウエスト航空は、工事が始まった第三サテライトを中心にいずれは運用する。成田関係者によれば、NWの新ラウンジはUAを凌ぐものになるという。ラウンジの差別化がファースト、ビジネスクラス集客にどれだけの効果があるのか、極めて興味深い(石原)



BACK NEXT

弊社およびこのホームページに関するご意見・お問い合わせは
E-mail:mail@jwing.com


Copyrights (c) 1999 KOKU SHIMBUN SHA CO.,LTD. All Rights Reserved.