-毎週月曜日発行-
2000年9月

潮流

 北海道1500qの旅(9月4日号)

 遅ればせながら夏休みを取り、三泊四日のフリープランで北海道をレンタカーで周遊した。初日は午後帯広に入り、池田町、足寄を通り阿寒に泊。二日目は摩周湖、硫黄山から釧路湿原、厚岸、根室、野付半島へ、国後島を横目に知床、斜里、北見を経て温根湯に泊。三日目は旭川、深川、富良野経由でトマムに泊。四日目は苫冠、日高から苫小牧に南下、高速で室蘭、そして有珠山へ。千歳に戻りJAL最終便で羽田着。走行距離は一五〇〇q。ちょっとハードだったが、三泊四日でこれだけ回れるのも車だからで、広い北海道は自動車旅行に向いている。噴火が沈静化した有珠山は観光に全く問題はないが、高速道路は伊達インターで切れており、一日も早い復旧を願わずにいられない。一面にもあるように、四省庁の統合で国土交通省の初年度に当たる来年度概算要求が決まり、その中で、北海道の観光振興が予算化された。運輸省、建設省、国土庁、北海道開発庁が一つになれば、北海道の観光開発に期待が持てる。とくに、自動車旅行に不可欠なカーナビ、携帯電話、道の駅利用による「マルチユース観光情報提供システム」の構築が明記されているが、レンタカーで旅すると、建設省が整備している道の駅が北海道観光の「中継基地」の役割を担っていることがわかる。道の駅は休憩場所であるともに、食事、土産物も充実している。食事は趣向を凝らし、土産物も農協・漁協とのタイアップで、農産物・海産物は一般の土産物店よりも安く買える。これに、情報機能が備われば、道の駅自体が観光スポットになるだろう。旅行会社にはレンタカー利用による旅行商品の充実を望みたい。現状では、宿泊できるホテル・旅館が限られており、もう少し自動車旅行の行程に合わせた宿泊地の増加が必要だ。また、北海道観光の主流であるバスによるパッケージツアーとの差別化も求められる。今後、北海道観光はファミリー層を中心とするレンタカー利用の自動車旅行が間違いなく増加する。国土交通行政と連動する旅行商品の充実。北海道観光の復興は官民共同による取り組みが不可欠であることを、今回の旅行で実感した。(石原)

 座右の銘は「氣呑山河」(9月11日号)

 近畿日本ツーリストの社長に高橋秀夫専務が昇格し、九月五日付で正式に就任した。メディア販売のクラブツーリズムを一事業本部にまで成長させた氏だけに、同社再建の「切り札」としての期待がかかる。高橋新社長は「田平前社長の経営を引き継いでいく」としながらも、クラブツーリズムの成功はビジョンを明確にしたからで、全社的な経営にもそれを生かしていく」と強調している。団体旅行が強いというイメージのあった同社に、クラブツーリズムで新風を吹き込んだ氏だけに、「個人旅行化、旅行目的の多様化、低価格化」の海外旅行の昨今の動向の中で、業界二位の近畿日本ツーリストをどういう方向に導いていくのか、大いに注目される。就任直後の会見では、具体的な再建策は示さなかったが、海外旅行の商品造成について、「テーマ型の商品を企画・造成していく」と述べている。とくに、「JTBとは違う方向を打ち出す」と明言しており、独自性のある近ツーならでは商品の造成を期待したい。ところで、高橋社長が旅行業に進むきっかけは、義兄がJTBの雑誌「旅」を購読していて、それを読んでいたためで、学生時代の就職活動も旅行業界一本に絞っていたという。三七年に及ぶ同社の勤務で最大の思い出は、昭和四七年から五〇年末まで務めた盛岡営業所長時代と振り返る。就任当時、全国でも売上が下位にあった盛岡営業所を五〇年に利益一億数千万円に引き上げ、最優秀賞を受賞した。「自分の思い通りの仕事ができ、今でも盛岡には愛着がある」座右の銘は「氣呑山河」。中国の武漢にある寺の天蓋に書かれていた言葉で、「気概があれば山河も呑み込める。つまり思いがあれば通じる」と語る。国内航空会社の共同サイトや国際線の共同サイトの開設計画など、航空会社やホテルなどサプライヤーの直販化が言われている今日、EコマースではJTBが旅行業界では積極的な姿勢を示しているが、いち早くイントラネットを構築した近ツーにも、Eコマースでの展開を期待している。高橋社長はEコマースに慎重だが、他業種でも業界二位の会社が元気になることが業界の活性化につながるので、「氣呑山河」の意気込みで、ぜひとも近ツーの巻き返しを望みたい。(石原)

 羽田は誰のものか(9月18日号)

 羽田空港の国際チャーター便拡大について、日本旅行業協会(JATA)、全国旅行業協会など旅行・観光関係諸団体が運輸省に要望書を提出した。「拡大」と言っても実際にチャーター便は特例の場合を除いて、ほとんど羽田では認められていないが、この「拡大」の意味はITCチャーターを実現することにあるようだ。今回の夜間早朝枠を活用しての「羽田国際チャーターの拡大」は、東京都が羽田の国際化を検討していることに呼応したものとみられる。各団体の要望を整理すると、羽田国際チャーター拡大は、@輸送能力の増強により海外旅行需要喚起につながる、A東京都立高校の修学旅行需要に対応する、B訪日外客を倍増するために必要である――などとなる。運輸省が立ち上げた「羽田空港有効活用検討委員会」は、ビジネス機の運航を含む羽田の国際チャーター便就航を検討しているが、千葉県サイドがビジネス機を特例で枠を広げたために、膠着状態の感がある。政治的なチャーター便は別として、唯一民間で認められているのは、大田区の商工会議所や市民団体が企画するものだけだ。これでは、羽田空港は大田区だけのものなのかと問いたくなる。成田空港も千葉県だけのものなのかと聞きたくなる。当たり前の話だが、羽田も成田も第一種空港であり、国民の税金でつくられている。全国民のものではないのか。公共事業の見直しで、静岡空港の建設問題が取り沙汰されているが、羽田や成田までもが一地域にあまりに配慮することは、日本の政治風土が変わっていないと言われても仕方がない。それなら段階的に羽田国際チャーター拡大を国民レベルまで引き上げることを考えるべきだ。まずは、特例として大田区が利用する。次に、東京都立高校の海外修学旅行利用に枠を広げる。さらに、東京―ソウル線など供給が逼迫している路線にチャーター便を認める。二〇〇二年のW杯を睨んで、訪日外客倍増を狙って本格的にチャーター便を運航する。区↓都↓国と特例を拡大していく。とりあえず、都立高校の修学旅行でチャーター便に風穴を空けてもらいたい。(石原)

 21世紀観光のリーダー(9月25日号)

 計画よりは若干遅れたが、中国訪日団体観光団の第一陣がこのほど来日した。運輸省としては、「ニューウエルカムプラン」で訪日外客を今後五年間で倍増する計画であり、中国からの団体観光客の受入はその目玉となる。思えば、ここまで至るまでには、いろいろ紆余曲折はあったと思うが、何と言っても二階前運輸大臣が功績が最も大きかったことを誰しもが認めるところだろう。去る五月に日本人五〇〇〇人以上を送り込んだ「日中文化観光交流使節団二〇〇〇」の記念式典には江沢民国家主席も出席し、中国からの団体観光客受入が実現に向けて大きく進んだ。観光を知る二階前大臣の強いリーダーシップがあればこそだろう。中国団体観光受入に関して、これを手配する日本側旅行会社に対するペナルティの問題はあるが、何事も実現することが重要で、今後第二陣、第三陣と続いていけば、この問題もクリアされていくと思う。今や中国は一大旅行ブームである。最初はもちろん国内旅行が中心だが、その次に来るのは海外旅行で、行き先はまずは日本を含むアジア、そして米国、欧州へと広がっていくだろう。中国からの訪日団体観光受入は、低迷する日本の観光地の活性化になるとの期待が大きい。とくに、国内旅館・ホテル業者にとっては、いずれはインバウンドなくして経営を語れないような状況が来るかもしれない。中国では一〇月に濃くない旅行業者二〇〇〇社以上を集めた中国国際旅行博覧会(CITM)が開催される。これには、日本から羽生運輸政策局長が出席する。ぜひとも、中国訪日団体観光の促進を図ってもらいたい。また、二階前運輸大臣とともに、「日中文化観光交流使節団」の実現に尽力し、インバウンド促進に尽力した藤野公孝元運輸省観光部長が、次期参議院選挙に立候補することが有力視されている。観光を熟知する政治家が一人でも増えることは、業界にとっては心強い限りだ。二一世紀が観光の時代であるなら、口先だけでなく、それを本当に実感するリーダーが必要で、藤野氏は適任と言える。先走りは承知の上で、二階―藤野ラインで、二一世紀の観光をリードしてほしい。(石原)



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