-毎週月曜日発行-
1999年8月

潮流

Y2K情報共有化を(1999年8月30日号)

 外務省が一八日にコンピューター二〇〇〇年(Y2K)問題で、海外旅行や海外への滞在を予定している人に対して、注意喚起を促す情報を海外安全センターから発出したことが、少なからず波紋を呼んでいる。とくに、二〇〇〇年問題で何らかの不都合・不具合が生じる可能性があることを念頭に旅行や滞在の計画を立てることを求めたり、Y2Kを免責にしない保険の加入や最新状況を航空会社、旅行会社に問い合わせることを勧めたりすることは必要なこととは思うが、年末年始旅行商品の予約が始まる時期だけに、水を差された格好になった。外務省としては、予約前に注意喚起するのが当然と言うだろうが、Y2K問題の影響により混乱が発生する可能性が指摘されている主要分野として、交通機関の運行の乱れや電気・水道・ガス等の公共サービスの中断や停止、金融サービスや通信システムの混乱、医療サービスを受けられないこと等を挙げ、「影響の程度や期間を正確に予測することは困難」としていることで、やはり消費者は年末年始の海外旅行を見直すことになるかもしれない。わが国の航空3社はY2K問題で、一〇月に運航方針を決定する。旅行会社も一二月三一日から一月一日にまたがる航空機や鉄道など交通機関で移動する商品造成を見合わせるなどの対策を講じている。航空会社、旅行会社は万が一のために危機管理計画を作成し、Y2K問題に万全を期すことになるが、日を追う毎に「年末年始は海外旅行は控える」と声が強まっているように感じる。今後、旅行会社に対して、Y2K問題に関する消費者からの問い合わせが増えてくるだろう。その時、大事なことは最新の情報を消費者に正確に開示することしかない。旅行会社が得る最新の情報は、JATAとOTOAが共同で調査しているY2K問題の状況調査だろう。とにかく、情報を共有化していくことが必要だ。Y2K対策は刻々と動いているので、その都度、JATAと連絡を取り合うことが望ましい。JATAの役割が大変重要になってきた。

Eチケット世界標準(1999年8月23日号)

 IATAとIBMがEチケットシステムの世界標準を目指して、開発することが決まった。Eチケットシステムは米国内線では既に一般化しており、わが国でも航空三社がコストセービングに有効として、これの普及を進めている。ただ、国内線の場合は航空会社の直販、いわゆる個札が中心のため導入が容易だが、国際線となると航空券の流通は旅行会社の代売が依然として主流なことから導入は容易でないとされていた。近年のPEX運賃の登場は、航空会社の航空券の直販を加速すると言われているが、それでも現行では旅行会社の代売が大きなファクターを占める。しかし、インターネットの普及と相まって、時代が「航空券は航空会社が販売する」流れにあることは明らかだ。IATAが目指すEチケットシステムの世界標準は、旅行会社へのコミッションの問題とリンクしていると考えるのが妥当だろう。航空会社の経営環境が厳しい中で、旅行会社のコミッション率を自由化し、その先には直販化を促進したいと考えるのがむしろ普通だ。航空券の流通はインターネットの普及で変革期に来ている。航空券がEチケット化する時代はすぐそこに来ており、そのために今から世界標準を決めていこうというのがIATAの考え方と見られる。ある航空会社の役員は、「航空会社の経営が厳しくなると、二つの問題が浮上する」と指摘する。一つは旅行会社へのコミッションであり、また一つは空港使用料であるという。IATAの運賃調整会議で旅行会社のコミッション率を自由化することが決まった。また、日本に乗り入れる海外航空会社が集まってFAAJを設立、成田、関空などわが国の国際空港使用料の引き下げを求める提言を運輸省に提出した。そしてEチケットの世界共通化である。航空券の代売で収益を上げてきた旅行会社はいずれ厳しくなる。そこから脱しないと生き残れないだろう。(石原)

FAAJの設立(1999年8月9/16日号)

 ノースウエスト航空、キャセイパシフィック航空、スカンジナビア航空など日本路線を運航する四一社によりFAAJ(在日外国航空会社協議会)が先月設立され、このほど、「高騰する日本の民間航空の経費」と題する声明書を運輸省航空局に提出した。FAAJは価格自由化の中で、日本の空港の使用料、とりわけ、成田、関西、名古屋など国際空港の着陸料のコスト高が外国航空会社の日本路線のイールドを低下させており、その減額を強く求めている。とくに、九八年サマースケジュール以降、海外航空会社はイベリア航空の撤退等を含めて週九三便減便したと指摘、このままの状態が続けば、さらに減便するだろうと警告している。これだけ、航空運賃やパックツアーが低価格化する中で、海外航空会社がこうした声明を発することは理解できる。本国からの強い要求もあるだろう。惜しまれるのは折角BOARという組織がありながらFAAJという組織をつくらざるを得なかったことにある。FAAJによれば、当初はBOARで日本の航空会社も着陸料などの減額について足並みを揃えていたが、最終的には賛同しなかったという。しかも、日本の定期航空会社で組織する定期航空協会の要望を運輸省が受け入れ二種空港の着陸料を三分の一引き下げたことで、海外航空会社は日本の航空会社と航空局に不信感を募らせることになった。これがFAAJを組織する引き金となったようだ。ただ、FAAJが海外航空会社の一枚岩であるかといえば、現状ではそうではない。週九三便のうち一四便を減便したユナイテッド航空やヴァージンアトランティック航空、アシアナ航空は現段階ではFAAJに参加していない。とくに、スターアライアンスの中核メンバーであるUALの参加はFAAJの今後の活動には不可欠と思われる。いずれ、日米航空協議が再開される。その時は、オープンスカイとともに、日本の空港使用料の問題が議論の中心となる予感するからだ。(石原)

明暗分けた上期(1999年8月2日号)

 大手旅行各社の九九年度下期商品が、相次いで発表されている。先陣を切ったのは日本交通公社のルックJTBで、上期の販売状況は景気が底を打ったと言われるにも係わらず不振で、全国発では前期一%増だったものの、東京発は一ブラ化して以来初めて前年を五%割ったことを受けて、下期は低価格化を図り、販売人員で前期比二桁台の伸びを目標に掲げた。これに対して、ジャルパックは上期は前期比二一%増と大幅に躍進、低価格化志向は変わらないものの、下期の販売人員は前期比四%増と控えめに見込んでいる。JTBは上期の東京発の不振について、「ルックに高級商品のイメージがあった」と反省、とくに販売店がルックではなくジャルパック商品を選択したことを要因の一つに上げている。これに対して、ジャルパックは「JTBとジャルパックでは分母が違う」と前置きした上で、「JTBでもアイル、アヴァの販売量は増えている」として、純ホールセラーの立場から「JTBにインパクトを与えることはない」とこれを否定している。実際に二〇〇〇年コンピューター問題もあり、下期の海外旅行需要が大きく伸びる要素はあまりないが、そうした中で、JTBが販売人員で二桁台の伸びを目指すというのは、思い切った攻めの販売政策を断行してくるものと予想される。また、日本旅行は下期で前期比一九%増と、JTBの上を行く販売人員目標を掲げた。日旅は下期東京発で全方面平均五・〇%の値下げと前述三社の中で最も低価格化に踏み切った。プライスリーダーのJTBが低価格化で攻めに転じれば、各社これに追随する。「アイルとアヴァが認知された」とするジャルパックも市場競争力を強めるために、体力勝負に出てくるだろう。Y2K問題も絡んで、中小各社もこれに巻き込まれる可能性も出てきている。(石原)



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