-毎週月曜日発行-
1999年9月

潮流

主催と代売(9月27日号)

 先週、今週の一面にもあるように、中堅旅行会社が自社主催旅行商品を縮小して他社代売商品を増販する傾向が強まっている。これは、とりもなおさず、赤字から黒字に転換する早道であり、確実に収益を見込める利点がある。企業である以上、予算を達成することが至上命題であるからには当然のことであるが、その反面、ある役員が指摘するように「他社商品の販売は社員のモラルの低下を生む」という問題を抱える。これは、旅行会社に入社する社員なら誰でも旅行企画を手掛けたいと思っているからだ。「企画した商品を手配運営して添乗することが旅行会社の喜びと思う人達がいながら、自社では商品の造成をこれ以上増やさないということになれば、モラルは下がる」。東急観光が先鞭を付けた形の自社主催から他社代売への転換は、同様の私鉄系旅行会社を中心として一つの流れとなっているが、これはどこでも抱える問題だと思う。本紙が毎年開催している旅行業界の就職セミナーでも学生の大半は、志望動機として旅行企画を上げている。現実は別として、旅行会社に入るからには旅行企画を手掛けたいと思うのは当然だし、そうした業務に配属されなくても特色ある主催旅行や企画手配旅行を実施している会社に入りたいと思う。旅行業の原点は対面販売であり、HISでも対面販売の必要性を強調している。だからこそ、どんなに縮小しても自社主催旅行商品は残す必要があり、それが「企業の良心」という人もいる。二一世紀は大旅行時代、大航空時代とよく言われる。しかし、旅行業の時代となるかはわからない。航空会社は総合旅行業を目指して直販と自社系列パッケージの強化を図るだろうし、一方で、インターネットによる格安航空券やホテルなどの素材販売は飛躍的に伸びていくだろう。こうした「多面体」のような旅行業で生き残るには独自性しかないように思う。したがって、今は厳しくとも、自社主催旅行を維持し続けることが明日に繋がるのではないか。(石原)

Y2K三種の神器
(9月20日号)

 運輸省と日航、全日空、日本エアシステムの航空三社は一三日に二〇〇〇年コンピューター問題(Y2K)に関してのデモフライトを実施した。これは、一四日の午前〇時を二〇〇〇年一月一日午前〇時に合わせて試験飛行を実施したもの。その結果、航空機の運航も地上との管制も何ら問題はなく、搭乗した川崎運輸大臣は「国内航空については、一月一日にフライトをしても問題ないと確認できた」と述べている。これは予想されたことで、問題はやはり国際線の運航にある。同大臣は国際線について「安全が確認できた国は積極的に情報公開するが、それが確認できない国は公表せず、自己責任で判断する」と述べている。安全確認できない国に行く場合の自己責任とは誰に対して言っているのだろうか。航空機を運航する航空会社か、旅行を催行する旅行会社か、旅行に出かける旅行者か。自己責任と言われても万が一の場合、旅行者から責任を問われるのは大体旅行会社だから、旅行会社としても独自にY2Kに対して独自に対応していかなければならない。そのためのモデルとなるのが、日本旅行業協会(JATA)が作成したY2Kに関する危機管理計画と安全対策マニュアルだ。ただ、これはあくまでモデルであって、各社がこれを応用して危機管理計画と安全対策マニュアルを作る必要がある。大手旅行会社は既にY2K対策を整えつつあるが、中小旅行会社にはJATAのモデルが大いに参考になるだろう。とくに、運輸省が安全が確認できない国についての旅行を自己責任という以上、危機管理計画と安全対策マニュアルは不可欠となる。川崎運輸大臣は「安全確認できない国の航空機に対しては、日本乗り入れを断ることもあり得る」ことを示唆したが、それが可能かどうか。当初八月にまとまるとされていたICAOやIATAによる各航空会社の対応状況も遅れており、ICAOは九月上旬に発表する予定だったが、さらにずれ込みそうだ。情報収集と危機管理計画、安全対策マニュアルの作成がY2Kの「三種の神器」といえる。

ボンド加盟は任意(9月13日号)

 ボンド保証制度への加盟会社は、一〇月一日の導入時点では二三一社がJATAの臨時常務理事会で正式に承認された。これが多いか少ないかは議論の分かれるところだが、JATAの第一種旅行業者正会員八六〇社のうち三割弱、海外主催旅行実施に限ればこの割合はさらに高まる。取扱額から見れば、二三一社合計で海外主催旅行取扱額の約三分の二を占めるという。運輸省ではボンド制の導入に当たり、「任意の場合にボンド制の実効性が確保されるかどうかを判断するには、どの程度の会員が加入するかを見極める必要がある」とし、「具体的に何社が加入すれば確保されるかについて、数字を示すことは非常に難しいが、任意でも導入を目指したいとするJATAの議論の意気込みが会員全体に伝わることで加入会員が増えれば、導入当初から一定の効果はあるだろう」との見解を示していた。さらに、実効性を判断するに当たっては、加入会員の数だけでなくその内訳も重要と指摘し、「JATAの会員の中には大手から中小まで様々な会社があるほか、海外主催旅行の取扱額についても多い会社と少ない会社があるため、加入会員が全般的であるかどうかも大きなポイントとなる」とし、ボンド制加入会員が大手などに偏らず中小などからも総じて参加することが必要との考えを明らかにしている。したがって、現時点では「多いとも少ないとも言えない」というのが運輸省観光部の見解だが、任意の制度である限り、敢えて加盟しない会社を尊重する必要がある。加盟しないのは海外主催旅行が少ない、親会社が加盟している、もう少し様子を見たいなどそれぞれに理由がある。ボンド保証制度を倒産等の問題が集中している海外主催旅行を取り扱う会員に対し、自己責任制度として、弁済制度を補完する形で導入する必要があること、さらに業界自身が消費者保護のためにより踏み込んだシステムを作ることで、業界に対する消費者の信頼を回復することを目的としていることは理解できる。したがって、加盟促進は当然のことだが、その前に「加盟は自由」が原則であることを忘れてはならない。



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