蜜月の終わり(99年10月25日号)
マップインターナショナルがHISとの提携を解消し、パチスロ機器大手メーカーのアルゼの傘下に入ることで合意した。本紙は今年の新年号でHIS澤田社長とマップ森社長の合同インタビューを掲載したが、その中でHISとの提携について森社長は、「HISのように増収増益を続けている会社は何が違うのかを一番感じた。スタッフの教育、目標意識、動機付けなどでHISは特筆するものがあり、それをマップに導入しており、今年はそれを深化させていきたい」と述べ、澤田社長も「企業文化が違うので、徐々に二段階から三、四段階に提携を強化していきたい」と新年の抱負を述べていた。しかし、ある程度の提携までは良かったが、澤田社長が言うように次の段階に提携を深化させることに対して、企業風土の違いからマップ側が抵抗したということか。提携の先にあるのはやはり合併だろう。HISがマップを完全子会社にするのは既定路線と思っていた。森社長はマップの独自性を求めて、HISに呑み込まれるよりも、異業種のアルゼの中で生きる道を選択したが、ことはそう簡単ではない。森社長はこれまで、「旅行業は労働集約産業であり、それが原点」としていたが、一転して「もはや労働集約型で収益性を高めることは困難であり、ネットビジネスなど情報産業化を目指して労働集約型から脱皮したい」と述べている。アルゼは売上高営業利益率五〇%以上の会社だ。旅行業界のそれはわずか〇・一二%、マップでも〇・三%しかない。三〜四年後の店頭公開までにこれを一〇%にするという。森社長の話を聞いても将来はともかく、それについての具体策は出てこない。旅行業の体質は異業種の参入によって変わる可能性もある。アルゼがマップ、トランスオービットを通して、旅行業に対してどのような運営に当たるのか、実に興味あるところである。(石原)
二階新大臣に要望(99年10月18日号)
一〇月五日に第二次小渕内閣がスタートした。注目された運輸大臣は、予想通り二階俊博元運輸政務次官が昇格した。二階新大臣は運輸大臣就任に当たり会長職を辞したが、全国旅行業協会会長を務めた旅行業に明るい人である。二〇〇一年の省庁再編がいよいよ迫ってきたので、その具体化へ新大臣の責務は非常に重いが、「適材適所内閣」と言われるだけに、二度の運輸政務次官を務めた二階氏の運輸大臣は正しく適任といえる。就任して最初の大臣会見でも、これまでと比べてより具体性のある会見となった。観光行政については、やはりこれまでの大臣と同様にアウトバウンド一六〇〇万人に対しインバウンド四〇〇万人の格差を指摘し、六〇〇万人程度に伸ばすために関係業界と協力していくことを表明した。航空問題については、来年二月の需給調整規制廃止による自由化、規制緩和を強調し、安全確保を前提としつつも、世界の航空会社との熾烈な競争に勝つために、わが国航空会社の更なるリストラを強く求めている。また、成田空港問題では平行滑走路の整備が難しい場合、日韓W杯サッカー大会までに暫定滑走路の整備を進めていくことを明言している。それでは、就任に対するエールはこれくらいにして、前全旅協会長に対して釈迦に説法だが、二階大臣に観光行政への要望をしておこう。二〇〇一年に観光部が総合政策局に組み込まれるが、観光行政に対してはっきりとした道筋を示してほしい。建設や国土関連部局に組み込まれない「観光」の存在を強力に組織として具体化していただきたい。とくに、ウエルカムプラン21による訪日外客の促進はW杯の開催と相まって理解できるが、一六〇〇万人の出国者数も人口比と比べて先進諸国ではまだまだ少ない。とくに、逆境にある旅行産業をどう立て直していくか。「産業」の視点から旅行業を見ていただきたい。旅行業界も努力するが、旅行業があって「観光の時代」が来るという認識で、二一世紀が観光、旅行の時代であると同時に「旅行業」の時代となるために辣腕を発揮することを期待する。(石原)
誰のための空港か(99年10月11日号)
日本航空(JAL)が来年四月から、成田空港第2旅客ターミナルビルの団体旅客チェックイン用のカウンターを全て個人旅客チェックイン・カウンターに変更することを決め、新東京国際空港旅客送迎連絡協議会、旅行会社、旅客送迎各社に対し、団体用チェックインカウンターの年度末までの返却を申し入れた。平成四年六月に発効したチェックインカウンター使用に関する覚書の期限が今年度末であるから再契約をしないということだが、海外旅行が一般化して以来数十年にわたり、団体旅行の一翼を担ってきた空港送迎業務が終わろうとしている。JALとしては、米連邦航空局(FAA)からパックツアー客のセキュリティチェックを強化してほしいと要請が来ているためとしているが、全て個人用カウンターにすることで、旅客ハンドリングを行う系列企業の業務を拡大する目的もあるのではないかと指摘する声もある。保安強化が目的なら全日空も日本エアシステムも同様だが、両社は団体カウンターを存続すると明言している。確かに、諸外国の空港と比べれば、成田空港のような空港送迎業務は「グローバルスタンダード」ではないかもしれない。しかし、これまでこの方式によって、混雑・狭隘化する成田空港でスムーズに団体客がチェックインできたのは紛れもない事実で、その意味で空港送迎業者の功績は大きい。一番の問題は、全て個人用カウンターとすることにより、団体客のチェックインがスムースにできるかどうかということだ。航空機出発の二時間前の空港集合がそれ以上になったら利用者のサービスの低下ということになる。JALでも「団体旅客用カウンターを廃止することで、旅行者が不便になるなら本末転倒」と認めている。それぞれに思惑の違いはあるだろうが、利用者利便を第一に考えて決めてほしい。(石原)
優待割引の廃止(99年10月4日号)
野村全日空社長が来年二月の需給調整規制撤廃で、運賃が認可制から届出制に完全に自由化されることから、これまで発行していた航空券の「優待割引」を撤廃したいと記者会見で表明した。当然と言えば当然だが、関連団体や取引企業に配っていた業界では有名だった「優待割引」がなくなることは、消費者にとっても運賃の透明性から非常によいことだと思う。ところが、運輸省は「優待割引」の存在自体を否定するどころか、「優待割引」は航空法に抵触するとまで言い出している。航空局に今いる人もしくはいた人で、「優待割引」を知らない人がいたら、その人は仕事はしていない人ではないか。ほとんどの人は「優待割引」の存在を知っている。記者だって、運輸省のクラブ詰めなら一度ならず使ったことがある人もいるはずだ。かくいう筆者も「優待割引」を使って取材に行ったことがある。こういうのを建て前という。野村社長が本音で「優待割引」を問題視しているのに、どうして役所は応えないのか。廃止すれば済むことではないか。詳しくは知らないが、「優待割引」にはいろいろと割引率があって、最高は当然一〇〇%、つまりタダである。最低は三〇%程度か。昔、航空会社周りをしていた時、ある航空会社のオフィスのデスクに「優待割引証」がゴムバンドで止めて札束のように山積みになっていたのを思い出す。当時は別に取引先に配るんだろうと、あまり気に止めなかったが、認可制で割引もなく、運賃はどこも同じ時代だから「優待割引証」や「優待割引券」は企業間では引っ張りだこだったに違いない。今の時代では、一般消費者からみれば、「優待割引」は許せないと思う。運輸省も建て前を言ってないで、即廃止すればいい。こうした「優待割引」は航空会社に限ったことではなく、運輸関係のみならず、どこの業界にもある。タダ券や割引券をもらえれば、誰だって優越感をくすぐられ、嬉しいに決まっている。運賃だから問題なのだ。野村社長の決断は正しい。(石原) |