デスティネーション__スペシャルリポート

 神秘の島イースター島と快適なリゾートタヒチを訪れる

イースター島−Easter Island (Rapa Nui)−
目的意識が高い観光客、ハネムーナーにも人気

 南太平洋の孤島、チリのイースター島。「謎の巨大石像モアイのある島」として日本での知名度は高く、誰もが一度は訪れたいと思う神秘的な魅力に包まれた島である。現在、イースター島への旅行商品は、最短時間で行けるタヒチ経由の商品が主流。ハネムーナーを中心に安定した人気のあるコースのひとつだ。ここでは、その旅行商品としての魅力や最新の観光状況について、リポートしてみたい。【取材・文章=宮原夏樹、協力=ランチリ航空・エア タヒチ ヌイ・エールフランス航空・サウスパシフィックツアーズ】


 まず、イースター島の観光概況について触れてみたい。イースター島へ訪れる日本人は年間2000人程度で、ここ数年その数に大きな変動はない。うち半分が南米経由のFIT層が占め、残りの約4割程度がパッケージツアー利用のハネムーナーだ。また歴史に興味を持つ熟年層の数も一定数存在する。いずれの層もイースター島にしかないモアイに興味があり、目的意識がかなり高いのが特徴だ。ちなみに、イースター島へ訪れる観光客は全体で年間2〜2.5万人。最も多いのが国内であるチリの観光客で、2番目がフランス人、そして3番目が日本人となる。
 イースター島へのパッケージツアーは、そのほとんどがタヒチ経由。パペーテ―イースター島間を結ぶランチリ航空(LAN)の運航パターンにより、イースター島滞在日程が2泊3日・3泊4日の2パターンに分かれる。このうち、週末に滞在する日程となる3泊4日のパターンが現在主流を占める。
 イースター島には在住の日本人ガイドが3人いる。多客期にはチリ本土やタヒチから日本人ガイドが派遣され、対応にあたることもある。パッケージツアー利用の場合、ほとんどがイースター島滞在中、日本人ガイドによるスルーガイドが付くので、言葉の心配がなく安心だ。



飽きがこないコースでモアイを見学

 イースター島の観光の目玉はやはりモアイ。15体のモアイが並ぶアフ・トンガリキやモアイの石切場だったラノララク、唯一海に向かって立つモアイが並ぶアフ・アキビなど、巨大石像であるモアイを見学できるスポットは数多い。モアイに加え、当時の住居であった石積みの家や伝説の鳥人が描かれた岩のあるオロンゴ儀式村、「地球のへそ」と呼ばれる磁気を帯びた石があり、「パワースポット」として知られるアフ・テピトクラ、住居でもあった巨大洞窟アナ・テ・パフなど、イースター島にはモアイ以外にも神秘的な魅力を持った見どころが数多く存在する。
 一般的な3泊4日のツアーでは、パペーテからの飛行機到着後に半日観光、2日目は1日観光、3日目は簡単な半日観光、4日目は夜の出発時間までフリーというパターンとなる。初日の半日観光では、オロンゴ儀式村を中心に島の南部を巡る。2日目の1日観光では、アフ・トンガリキやラノ・ララクなど、島の東海岸を中心にイースター島観光のハイライトを巡るルートとなる。3日目の半日観光では、島唯一の村であるハンガロア村の近郊にある博物館やアフ・アキビ、巨大洞窟などを見学する。 全体的なコースで見ると、面白い工夫がある。ツアー初日や2日目の観光の前半では、倒されたモアイがあるポイントを巡る。モアイは18世紀に起きた内部抗争が原因で、そのほとんどが倒されており、直立したモアイは、その後元の姿に戻されたものだ。倒されたモアイばかりを見学し、飽きが来る頃に写真でもよく知られる15体の直立不動のモアイが立ち並ぶアフ・トンガリキに到着する。その迫力は圧巻で、誰もが「来てよかった」と実感する瞬間である。その後、モアイの石切場だったラノ・ララクを訪ねる。ここには、正座したモアイや斜めにそびえ立つモアイ、運び出される途中で放棄されたモアイや製作途中のままのモアイなど、様々な形のモアイを見ることができるいわば「モアイの見本市」的なスポットだ。このように、最初にハイライトであるポイントを見るのではなく、敢えて次の日の後半に回すことで、徐々にイースター島に訪れた実感を感じてもらい、飽きがこないコースづくりにしているのである。



新しい素材、4WDで巡るイースター島
トレッキング、ダイビング、伝統舞踊ショーも


 イースター島の観光は、単にモアイを見学するだけはない。今回、4WDのジープによる島内巡りを体験、新しい素材として紹介したい。
 このツアーは地元の民宿協会「ラパヌイ・ピリ(「ラパヌイ」は現地語でイースター島の意味)」が主催しているもので、4WDのジープを使って島内を巡るもの。途中、イースター島最高峰のマンガ・テレヴァカ(525メートル)まで駆け上る。山頂からの風景はほぼ360度海が見える絶景で、イースター島が孤島だということを実感できる。昼食は屋外でのバーベキュー。肉や取れたての魚、野菜に塩を振り、単純に焼くだけの素朴な料理だが、どれもが素材そのものの味が生きていて美味しい。チリ・ワインも振る舞われる。民宿協会のメンバーが突然、ギターを伴奏に踊り出し、踊りの輪ができるなど、精一杯のもてなしが感じられ、忘れることができない体験となった。
 民宿協会のメンバーの中には、地元唯一の伝統舞踊チーム「カリカリ」のメンバーもいる。カリカリのショーは毎週水曜日と土曜日にホテル・ハンガロアで開催される。オプショナルとして申込が可能で、合わせて食事の手配もできる。ビートの速いダンスはポリネシアの影響が感じられるもの。最後には観客自らが踊り出し、盛り上がりは最高潮に達する。
 4WDによるアドベンチャーツアーの他にも、歩いてイースター島を巡るトレッキング、ダイビングやサイクリング、乗馬など、いくつかのオプションが用意されている。ただ乗馬に関しては、万が一の事故や保険等の問題があり、あまり勧められないとのことだ。いずれにせよ最終日のフリーの時間にこうしたツアーを取り入れることで、より充実したイースター島ならではの体験ができるだろう。



質素だが充分快適な宿泊施設、暖かいおもてなしも

 イースター島の宿泊施設は、小規模なホテルや民宿が中心となる。いずれも地元チリ資本で、外資系の宿泊施設は一切見られない。これは法律で規制しているためで、この他、景観を守るため、5メートル以上の建物が建てられないという規制もあり、宿泊施設のほとんどが平屋建てである。
 今回宿泊した「ホテル・タハタイ」は、イースター島の宿泊施設で唯一日本人スタッフが常駐しているホテル。パッケージツアーでもよく利用されている。全室40室で、うちコテージタイプが10部屋。2000年12月にリニューアルし、部屋は清潔。海の見える部屋も何室かある。豪華ではないが必要最低限の設備が整っており、充分快適な滞在が楽しめる。希望によっては日本食の提供も行うが、折角なのでここのシェフが腕によりをかけたオリジナルの料理を楽しみたい。
 「マナバイ・ホテル」は、20部屋の小規模ホテル。各客室には、イースター島に古くから伝わる鳥人間など伝統的なモチーフを描いたアート作品が各部屋にさりげなく飾られており、ムードがある。「ホテル・ハンガロア」は、旧国営のホテルで、客室数は80室とイースター島でも最も規模の大きいホテル。前述のカリカリ・ダンスチームのショーが開かれるホテルだ。ホテル以外の民宿も点在しており、いずれも決して豪華ではないが素朴なところばかりだ。


タヒチ -Tahiti -
イースター島との対比が面白い


 イースター島へ行くルートとして最も早いのが、タヒチを経由するルート。イースター島への旅行商品でも、この「タヒチ+イースター島」が最もポピュラーな商品となっている。タヒチは言わずと知れた「大人の上級リゾート地」。ハネムーナーやウエディング、カップルで訪れる人が主流だが、最近では、女性の2-3人連れや熟年層で訪れるケースも増えてきている。
 タヒチ+イースター島の旅行商品では、タヒチ本島もしくは隣のモーレア島に滞在し、その後イースター島へ向かうルートがほとんどだ。タヒチと言えば、ボラボラ島の水上コテージがすぐ思い浮かぶが、タヒチ島やモーレア島でも優雅なリゾートライフが楽しめる魅力的なホテルが多い。タヒチでリゾート気分を味わった後、イースター島に向かうこととなる。ここでは標準的なコースで訪れるエリアやホテルなどを紹介したい。



フランスの雰囲気溢れる町並みや島、タヒチでの観光

 タヒチでの観光は、タヒチ本島にある中心都市パペーテやモーレア島が中心となる。パペーテ中心部には商店やレストランなどが建ち並び、ショッピングセンターやマルシェ(市場)もある。そこでパレオや黒真珠、その他民芸品などの土産物を買うには最適の場所だ。また、パペーテには公設の屋台村(ルロット)があり、安くてボリュームたっぷりの食事が楽しめる。料理はシーフードやピザ、フランス風のそば粉のクレープや中華など。街にはフレンチ・コロニアル風の建物が建ち並び、「南国のフランス」的な独特の雰囲気が感じられる。イースター島とはかなり違った雰囲気なので、行き帰りで滞在し、その雰囲気の違いを楽しむといいだろう。
 モーレア島はタヒチ島から近く、飛行機でわずか10分、船で30-45分程度の距離だ。険しい山々と穏やかな湾が織りなす光景は印象的で、多くの芸術家がこの島を訪れ、インスピレーションを得たとされる。リゾートでゆっくりくつろぐのもいいが、風光明媚な風景を楽しむツアーに参加するのもまた楽しい。



快適なリゾート、水上バンガロー滞在も

 水上バンガローで有名なのは、ボラボラ島だが、タヒチ島やモーレア島のホテルにも魅力的な水上バンガローを備えたホテルが数多い。また水上バンガロー以外の部屋でも充分快適な滞在が楽しめる。
 タヒチ本島にあるシェラトン・ホテル・タヒチはパペーテ空港の近くにあり、またパペーテの中心部からも近い。同じく空港の近くにあるのが、
インターコンチネンタル・ビーチコマー・リゾート・タヒチ。こちらには32棟の水上バンガローがある。客室のインテリアは落ち着いた上品さが感じられる。ル・メリディアン・タヒチも空港から近く、こちらはモダンなインテリアが印象的なホテルだ。こちらにも水上バンガローが12棟あり、モーレア島をバックに日が落ちる夕暮れ時の風景はとてもロマンティック。いずれのホテルも空港から近いため、イースター島へ向かう時、または戻る時の前後泊・休憩に使われるケースが多い。しかしどのホテルも単体でリゾートホテルとしての魅力を兼ね備えており、充分満足できるものだ。またどのホテルも充分な会議・宴会施設を持っており、実際インセンティブで利用されることが多い。
 モーレア島のホテルはタヒチ本島のホテルと比べるとよりリゾートの雰囲気が強いのが特徴だ。いずれのホテルも部屋数を100室前後に抑え、よりフレンドリーできめ細やかなサービスが受けられる。もちろんほとんどのホテルが水上バンガロータイプの部屋を用意している。
 新しいリゾートもオープンしており、今回訪れた
モーレア・パール・リゾートは今年の夏にオープンしたばかりだ。総客室数は95部屋。空港や港から車で10〜20分と近く、周辺にはスーパーマーケットや銀行、土産物屋などがあるのも便利だ。毎晩無料で行われる日替わりアクティビティーも特色のひとつ。タヒチアン・ミュージックやダンスショー、タヒチ風魚のマリネや花冠の作り方講座などといったユニークなものもあり、ポリネシアン文化を体験できるチャンスだ。
 また、
シェラトン・モーレア・ラグーン・リゾート&スパが2000年10月にオープンした。総客室数は106室で、うち日本人宿泊者数は通年で約1割を占める。やはりハネムーナーの宿泊が主流で比率は約9割。ウエディングも頻繁に行われており、タヒチ風に南国の花で敷き詰められたバージンロードを演出するなど、その人気は高い。また同リゾートにはマンダラ・スパがあり、スパ・トリートメントも受けられる。最近ではハネムーナー以外にも熟年カップルや20代の女性2人旅といった層も見られるとのことだ。水上バンガローは54棟ある。



イースター島とタヒチ、2つの魅力の提案を
神秘的・素朴なイースター島、豪華リゾートのタヒチ

 イースター島への観光需要は、「モアイを見たい」という強い目的意識を背景に、ここ最近目立って大きな変動はない。こうした安定した需要が常にあり、現地側のキャパシティーも限られているため、これまでイースター島に対する大きなプロモーションを行うことは、今まで特に見られなかった。しかし今一度、イースター島+タヒチという旅行商品の魅力を再認識し、ハネムーナーや熟年層など、パッケージツアーに取り込める層を中心に、改めて魅力をアピールする必要性はあるだろう。
 今回イースター島とタヒチを訪れたわけだが、途中でほぼ同コースを巡った日本人ハネムーンのカップルが3組いた。いずれのカップルも大手旅行会社催行のツアーに参加してのイースター島訪問だ。ツアーに参加した感想を聞いてみると、どちらかというと男性がモアイに興味があり、女性がタヒチのリゾートに興味があるという傾向が出発前にあったようだ。しかし実際にイースター島に訪れると、女性側もその魅力に触れ、充分満足していた様子だったのが印象的だった。女性側にしてみれば、タヒチやモルジブなどの水上バンガローに強い魅力を感じるようだが、実際訪れてみるとイースター島の神秘的な魅力や素朴なホスピタリティーにも強く感動するようだ。その意味でも女性好みの高級リゾートというタヒチの魅力と、神秘の歴史に触れられるイースター島の魅力を同時に体験できるのが、この旅行商品の最大の魅力と言っていいだろう。
 イースター島への旅行商品は、価格面や個人手配の場合の煩雑さなどを考えると、FITと比べ充分優位性のある商品だ。タヒチだけにしかない、またイースター島だけにしかない魅力をきちっと提案することで、ハネムーンや熟年旅行など、見込める需要に対して、充分にアピールしていきたい。



イースター島へはランチリ航空で

 イースター島への唯一のアクセスを提供しているのがチリのフラッグ・キャリアであるランチリ航空(LAN)だ。サンチアゴ―イースター島―パペーテ間を現在週2便で運航、パペーテ―イースター島間の所要時間は、約5時間半〜6時間となっている。ランチリ航空は、南米でも有数の航空会社で、そのサービス水準は高く、数々の賞を受賞していることでも知られる。機内ではチリのワインがサービスされ、各クラスのシート間隔もゆったりとしているのが特徴だ。今後同路線には最新鋭のエアバスA340型機が導入される予定で、エコノミークラスでもインタラクティブ方式によるビデオ・音楽・ゲームのサービスが楽しめるようになる。



エア・タヒチ・ヌイで行くタヒチ
成田線増便、新機材導入でグレードアップ

 日本からタヒチへの唯一の直行便を持つのがエア・タヒチ・ヌイ(THT)だ。今年4月の成田空港暫定滑走路供用開始を機に、成田―パペーテ線を週1便増便、成田発週3便・関空発週1便に増強した。増便にあたり、同社では新機材となるエアバスA340-300型機を導入、エコノミークラス含む全クラスに個人用シートモニターを設置、映画・音楽に加えゲームも楽しめる最新型のエンターテイメントシステムを提供している。



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